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茶道の作法・手順まとめ|点て方・飲み方のやり方&言葉の意味も

茶道

茶道の作法手順まとめ

急にお茶会に招かれたけど、作法とかよく分からない…

という方も多いのではないでしょうか

『取引先の人が茶道好きで、お茶会をご一緒することになった』

『学校のお茶会にチャレンジしたいけど、少し怖い』

何も知らない状態でお茶会に行ったら、作法を知らないばかりに恥ずかしい思いをするどころか、招待して下さった方にも残念な思いをさせてしまう可能性もあります。

そんなトラブルは絶対に避けたいですよね。

今回は茶道初心者の方にも分かりやすいように、簡単な茶道の作法についてご紹介します。

ポイントは3つで、これさえ知っておけば初めてのお茶会でも安心です。

茶道で最も重要な「相手の立場になる」という考え方は、一般的な人間関係においても同様です。

茶道の作法を活かして、あなたの人間関係も一気に素敵なものにしていきましょう。

茶道の作法|基本の流れ・手順

茶道には様々な作法やルールがありますが、まず重要なのは相手の呼吸を知ることです。

お稽古では先生がしっかりと作法を教えてくれます。

しかし実際のお茶会では、アクシデントが起きたり作法通りにいかないこともよく起こります。

そんな時に重要なのが、相手の気持ちに立つこと。

特にこの記事を見て頂いている方は茶道初心者の方が多いので、相手の動きに合わせて動きましょう。

茶事(ちゃじ)と呼ばれる本格的なお茶会の流れは、下記の通りです。

順番内容意味
炭点前(すみでまえ)火の準備
懐石軽くお腹を満たす
濃茶お茶とお菓子で、気持ちを一つにする
薄茶濃いお茶の後で、整える

特にみなさんが参加するお茶会は③と④だけに省略したものです。

こういったお茶会に参加しているとそれぞれの作法は独立しているように感じますが、実は①から④は繋がっているため、連続した動きになっていることが分かります。

茶道の作法まとめ!客編【簡単・初心者】

それではまず「お茶会に呼ばれたら?」という想定で、茶会における客側の作法を説明します。

どれも基本的な作法ばかりです。

いざという時慌てないためにも、しっかり覚えておきましょう。

▼裏千家の基本的な作法を紹介した動画を、ご紹介します。

お辞儀の作法

お辞儀は茶道に関わらず、日常場面でも使われています。

もともとお辞儀は西暦500年ごろと言われています。

中国から日本に伝わり、相手に敵意が無く忠誠を誓うためのものとして使用されてきました。

現代も近い意味があり茶道にもお辞儀は欠かせませんが、少し意味が異なります。

茶道の場合もてなす側の亭主と、もてなされる側の客。

この間に優劣関係は無く、ともに平等です。

茶道におけるお辞儀はお互いに「敬意」を表現するために、使われています。

さらに茶道ならではの合理的な考えが相まって、3種類のお辞儀があります。

  • 真(しん)
  • 行(ぎょう)
  • 草(そう)

これら3つのお辞儀は、時と場合によって使い分けされています。

真のお辞儀

真(しん)のお辞儀は、一番丁寧なお辞儀とされています。

ものごとの「本来の形」という意味が真には込められており、両手をしっかりと畳に付けて頭を深く下げます。

主に亭主と客の間や、お菓子を頂く時に真のお辞儀をします。

ちなみに裏千家では頭を下げたとき、両手がくっつくように畳に付けるのに対し、表千家は両手が少し離れるように置きます。

そのほか武家茶道では、両手を「にぎりこぶし」のようにして、膝頭の横に置く場合もあります。

行のお辞儀

行(ぎょう)のお辞儀は、二番目に丁寧なお辞儀です。

主に客同士が敬意を表す場合に使われ、お菓子を先に頂くときなどに行のお辞儀をします。

形は真のお辞儀に似ていますが、真のお辞儀より手は軽く置いて頭は少し上げます。

特に客同士の場合には、お互いの顔を少し見ても良いでしょう。

真のお辞儀は2秒ほど頭を下げるのに対し、行のお辞儀は1秒ほど頭を下げます。

草のお辞儀

略式で用いられるのが、草(そう)のお辞儀です。

書道やPCのフォントで用いられる「草書」という、文字を早く書くために簡略された意味の「草」という方が、分かりやすいでしょうか。

茶道では亭主がお点前中にお辞儀をする場合に、使われています。

両手の指先が軽く畳に付くようにし、頭も10センチほど下げます。

道具を拝見するときも、正客は草のお辞儀をしながら問答をします。

ここで大事なのが、草のお辞儀だからと言って敬意が無いわけではありません。

亭主は道具が近くにある場合や、問答のために相手の顔が見れるように草のお辞儀があります。

略式といえど、相手に込める敬意に変わりはありません。

お菓子の頂き方

続いてお菓子の頂き方です。

ここでは

  • 正客
  • 二客以下

に分けて説明します。

正客とは床の間に最も近いところである、一番の上座にいる客のことです。

多くは亭主が茶碗に抹茶を入れ、お湯を入れる寸前に「お菓子をどうぞ」と声がかかります。

半東という進行役がいる場合には、再度半東から声がかかる場合もあります。

  1. 「お菓子をどうぞ」と声がかかります。
  2. 二客に対して「お先に」と行のお辞儀をします。
  3. 菓子鉢を両手で持ち少しだけ上げて頭を軽くさげるようにお辞儀をします。
  4. 菓子鉢を元の場所に戻し、菓子鉢と量膝頭の間に両手を軽く置いて菓子鉢を拝見します。
  5. 懐紙を畳のへり内側に置き、輪を内側にします。
  6. 箸を右手→左手→右手と三手で取り、お菓子を懐紙に乗せます。
  7. 反対の順序で箸を戻し、次客に菓子鉢を渡します。
  8. お菓子を頂きます。

これが基本的な流れになっており、薄茶の干菓子や濃茶の主菓子でも変わりません。

二客以下の場合も、基本的な流れは同じです。

  1. 自分の右側にいるお客様から「お先に」と声がかかる。
  2. 行のお辞儀をする。
  3. 正客同様の順序でお菓子を懐紙に乗せて、頂く。

教室ではお稽古の最初に教わる基本です。

最初は慣れないこともありますので、しっかり体で覚えておきましょう。

お茶の飲み方

お菓子を頂いた後には、いよいよお茶が出てきます。

よく「お菓子がメイン」ではないの?

という疑問を頂くこともありますが「お茶会」と言われているため、主役はお茶です。

最初は戸惑うかもしれませんが、甘いお菓子を頂いたあとのお抹茶は格別です。

ここでは薄茶と濃茶の飲み方を説明します。

濃茶の飲み方

濃茶(こいちゃ)はホテルなどで行われる略式のお茶会では出てくることはありませんが、炉開きや初釜などの季節の節目で行われるお茶会ではよく出てきます。

濃茶碗(こいちゃわん)と呼ばれる楽焼の茶碗に注がれ、同じ席にいる客全員が一つの濃茶碗を頂きます。

ここでは、正客の作法を例に説明します。

  1. 茶碗を右手で持ちます。
  2. 左手に乗せて、頭を軽く下げます。
  3. 茶碗を時計回りに回して、一口だけ飲みます。
  4. 茶碗を持ったまま右手を草のお辞儀のようにして、亭主に「結構です」と挨拶をします。
  5. 残りの二口ほどを飲みます。
  6. 茶碗を畳の内側に置き、懐紙で飲み口を綺麗にします。
  7. 二客に茶碗を送ります。

二客も基本的には同じです。

複数の客で飲み回すことが多いですが、自分が飲む分量と他の客が飲む分量を考えながら頂きましょう。

濃茶碗の拝見は薄茶と違い、全員が飲み終わった後一度に行われます。

薄茶の飲み方

ホテルなどで行われるお茶会以外でも、濃茶が出てくるような正式なお茶会では濃茶の後に薄茶が出てきます。

濃茶と動きは大きく変わりません。

ここでも正客を例に説明します。

  1. 茶碗を右手で持ちます。
  2. 左手に乗せて、頭を軽く下げます。
  3. 茶碗を時計回りに回して、三口で飲みます。
  4. 飲み終わった時は茶碗の底にあるお茶を口で吸いきり、茶碗を持ったまま右手で飲み口を清めます。
  5. 懐にある懐紙で右手を清め、茶碗を反時計回りにして元の場所に戻します。

茶碗を拝見

特に薄茶の場合は、茶碗の拝見が伴います。

  1. 行のお辞儀の状態で茶碗の全体を眺めます。
  2. 量肘を膝の上に置いたまま茶碗を持ち、全体を拝見します。
  3. 茶碗を戻し、もう一度全体を眺めます。

二客以下も作法は同様で、受け渡しの方法もお菓子と同じです。

ちなみに茶碗を二回拝見するのは「名残惜しむ」という意味が込められています。

 

茶道の作法|茶の湯の点て方・お点前のやり方とは

続いて抹茶の点て方を説明します。

抹茶を点てるのは亭主のみになりますが、初心者でも水屋という裏方で抹茶を点てることがあります。

お茶を美味しく点てるという意味ではどの流派も同じですが、特に表千家と裏千家の違いを説明します。

表千家の場合

表千家の点て方はシンプルです。

  1. 右手で茶杓(ちゃしゃく)を握り、左手で棗(なつめ)を取ります。
  2. 茶杓を持ったまま棗の蓋を取り、右膝頭の上におきます。
  3. 抹茶を1杯半ほど、茶碗の中に入れます。
  4. 棗を持ったまま、茶碗の中の抹茶を軽くならします。
  5. 茶杓の先端である櫂先(かいさき)を、茶碗の右上で叩いて抹茶を落とします。
  6. 棗に蓋をして元の場所に戻し、その上に茶杓を置きます。
  7. 茶碗にお湯を入れます。
  8. あまり泡が立たないように、茶筅を振ります。
  9. 泡の無い部分が「半月状」になるようにします。

特に最後の「半月状」は、初心者にとっては難しいかもしれません。

裏千家の場合

裏千家の場合も、表千家と基本的な流れは変わりません。

  1. 右手で茶杓(ちゃしゃく)を握り、左手で棗(なつめ)を取ります。
  2. 茶杓を持ったまま棗の蓋を取り、右膝頭の上におきます。
  3. 抹茶を2杯ほど、茶碗の中に入れます。
  4. 茶杓の先端である櫂先(かいさき)を、茶碗の右上で叩いて抹茶を落とします。
  5. 棗に蓋をして元の場所に戻し、その上に茶杓を置きます。
  6. 茶碗にお湯を入れます。
  7. 最初はお湯と抹茶をなじませるように、茶筅を振ります。
  8. シャカシャカと細かい泡が立つように、抹茶を点てます。
  9. 最後に茶筅でひらがな「の」の字を書いて、茶筅を取り出します。

表千家との違いは下記の4点です。

  • 抹茶の量
  • 茶碗の中の抹茶を、ならさない
  • 泡を点てる
  • 「の」の字を書く

特に「の」の字を書く場合には、細かい泡が中央に集まるようにしましょう。

 

茶道をもっと詳しく!もてなす側の作法とは

さらに詳しく、もてなす亭主側の作法を説明します。

どれも客が素敵な時間を過ごせるためのものです。

しっかり覚えて、みんなが喜ぶお茶会にしましょう。

亭主側の作法

亭主は客と一番身近に関わる存在で、お茶会の主催者です。

作法はたくさんありますが、一番重要なのが「客の息遣い」を感じ取ることです。

ルールはありますが、客が何をしているのか常にアンテナを張っておきましょう。

例えばお茶を点てる前にお菓子を勧めますが、客がお菓子を食べるのに時間がかかっている場合もあります。

作法通りにすぐお湯を注いでしまっては客が食べ終わるまでにお茶が冷めてしまいますし、何よりゆっくりお菓子を味わうこともできません。

気持ちよくお茶会に参加できるように、客の状態を把握しながらお茶会を進めていきましょう。

水屋の作法

水屋(みずや)とは茶会の準備をする、台所のことです。

たくさんの人数が集まるお茶会では、水屋仕事を専門にする役割もあります。

水屋において重要なのは、客の状態はもちろん亭主が行うお茶会の進行具合も把握することです。

道具を運び出すときに亭主が、道具を落とす場合もあります。

そういった時すぐに道具を用意するなどのスムーズなお茶会進行はもちろん、亭主に恥をかかせないようにしましょう。

お運びの作法

お運びは入門してすぐの方が行うことが多いです。

人数によっては水屋の人がお運びをしたり、専門の役割として存在することもあります。

お運びで重要なのは、いかに効率良くお茶を届けるかということです。

モタモタしていては抹茶が冷めてしまいますし、お茶会が次に進みません。

お茶をお渡しした後は飲み終わった方もいらっしゃいますので、帰り道にも気を配りましょう。

自分はどんな動きをしたら良いか、常に考えることが大切です。

茶道で使う言葉の作法・挨拶一覧

茶道では様々な挨拶がありますが、季節によっても挨拶が変わります。

特に重要な2つの行事の挨拶を、ご紹介します。

炉開おめでとうございます

風炉から炉に切り替わる「炉開」の時期に使われる言葉です。

特に正客が亭主に向かって使う言葉です。

炉開は茶道の正月とも言われていますので、無事に炉開のお茶会を開催できたことを祝いながら挨拶をしましょう。

新年を言祝ぎ(ことほぎ)ます

新しい年を迎えたときのお茶会で、使われる挨拶です。

亭主が茶室の入り口で、客に向かって使う言葉です。

「言祝ぎ」(ことほぎ)とは、文字通り言葉で祝うという意味です。

道具やお菓子でも新年を祝うことはできますが、まず重要なのは言葉で祝うことです。

過去にこちらでも、季節に関係無く使える作法や挨拶をご紹介しています。

日常生活で使えば、丁寧な印象になることができる言葉ばかりです。

 

茶道の作法に込められた意味とは?

茶道の作法や言葉は、全てに意味があります。

茶碗を傷つけないようにアクセサリーや時計を外したり、道具を丁寧に扱うなどの作法がありますが、全てに共通するのは相手への「心配り」です。

利休が残した言葉の中に「相客に心せよ」という言葉があります。

亭主と客の間だけでは無く、同じお茶会にいる客同士にも心配りは必要不可欠です。

上座にいるから当たり前にお菓子を取るのでは無く「お先に」という言葉をかけるのは、その意味です。

たとえ客としてお茶会に招かれていても、お互いをもてなす気持ちでお茶会に参加しましょう。

まさにその一瞬を大切にする「一期一会」(いちごいちえ)の意味なのです。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は

  • 客の作法
  • お茶の点て方
  • 茶道の挨拶

についてご紹介しました。

茶道で重んじる「相手を思いやる」という気持ちは、茶道以外でも重要な考え方です。

私たちは生きていく上で、他の人間と関わりながら生きていかなければなりません。

そんな時茶道の作法や精神を少しだけ使ってみたら、さらにあなたの人生が円滑に進むでしょう。

ぜひ日常生活でも実践してみて下さい。

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