新年を迎えたら、
まず始めにやってくるのが初釜です。
初釜は、
新春を迎えて初めてかける釜のこと。
その年の最初に催されるお茶事、またはお茶会です。
使用するお道具選びや組み合わせ、
段取りを考えたり、掃除をしたり…
いろいろと準備があって気忙しくなる時期ですね。
そこで今回は、
初釜に用いる飾り物やお正月飾りに適した縁起物など、
何をどのように準備しておけば良いかを
まとめてご紹介していきたいと思います。
初釜に用いる飾り物と縁起物
結び柳(結柳)
結び柳とは、長くしなやかな柳の束を、
真ん中で結び、輪にしたものです。
丸く結んだ姿は、
円満、平和、生命力を象徴しています。
生け方は流儀によって違いますが、
床の間の奥の柱や部屋の隅の柱の上方に
「柳釘」(やなぎくぎ)を打ち、青竹の筒をかけたり
竹花入などに入れて飾ります。
柳は、結ばずに垂らす方法もあります。
柳は長く垂れているほど縁起が良いといわれています。
紅白の椿
紅白の椿を先ほどの
結び柳と一緒に青竹の花入に生けます。
その他、水仙、牡丹、藪柑子(やぶこうじ)、
つぼみから少し咲き始めの
白梅なんかを飾ってみても素敵ですね。
炭飾り
お正月、初釜用の炭飾りには
くぬぎ炭を用います。
くぬぎ炭は主に茶道用に焼かれる炭で、
固く締まっており、静かに燃え、
くぬぎ炭独特の良い香りが特徴です。
くぬぎ炭を二度焼くことで煙を抑え、崩れや跳ねも防ぐ、
利休の二度焼き(千利休があみだしました)
と呼ばれる手法も有名です。
蓬莱飾り(ほうらいかざり)
飾り台に奉書を敷きお米を一升半入れます。
なぜ一升半かというと、
一生繁昌(繁盛)するようにという意味が込められているからです。
このように、初釜に用いる飾り物にはひとつひとつ、縁起に因む意味や由来が込められているのですね。
一升半のお米の上に2本または3本の炭を置きます。
3本の場合は、下に胴炭2本上に輪炭を1本置きましょう。
炭は奉書などの和紙で包み、金銀の水引きで結びます。
プラスα
炭の上に長昆布や串柿を水平に乗せたり、
伊勢海老や鮑熨斗を用いると本格的な蓬莱飾り、蓬莱山飾りになります。
プラスα
四隅に小皿を置いて、
山のもの(小梅、長老喜)、海のもの(昆布、ごまめ)を飾って出来上がりです。
訶梨勒(かりろく)
訶梨勒は、香りの良いカリロクという植物が入った袋状のもの。
初釜などの慶事の席で、床の間に飾られる袋物です。
華やかな裂地(きれじ)や飾りのついたものを選びましょう。
初釜に用いられる茶道具の一覧
嶋台(島台)茶碗
嶋台(しまだい)茶碗とは、見込みに金箔や
銀箔をほどこしたお茶碗のことです。
ひとまわり大きな銀のお茶碗を下にして重ねて使います。
金のお茶碗の高台は鶴を表す五角、
銀のお茶碗の高台は亀を表す六角になっています。
お茶をいただいたあとはじっくりと拝見しましょう。
ぶりぶり香合
ぶりぶり香合は、普通の香合よりも大きく
少し変わった形をしています。
主に松や鶴、高砂などが
色鮮やかに描かれているのも特徴です。
ぶりぶりは元々は子供のおもちゃでした。
紐と車を付けて引っ張ると、
ぶりぶり…ぶりぶり…と音がしたので
こう呼ばれるようになったそうです。
ちょっとかわいい由来ですよね。
表千家覚々斎(かくかくさい)が、
節句のお祝いにもらったぶりぶりを、
半分に割り中をくり抜いて香合に見立てて
使ったのが始まりと言われています。
この他、初釜では松かさや宝珠(ほうじゅ)、小槌(こづち)、鶴や亀などを
モチーフにした茶道具が向きます。
干支にちなんだものも楽しさがあって良いでしょう。
初釜に用いる茶杓の銘はこちらの記事をご覧ください。
初釜に使う主菓子
常盤饅頭(ときわまんじゅう)は、
表千家で初釜に用いられる主菓子です。
常盤とは、千年変わらない松の緑を表す言葉です。
それを見立てて、白い薯蕷(じょうよ)の皮で
緑色の餡(白あんを緑に染めたもの)を包んで作られています。
大和芋を原料とする薯蕷の皮はもっちりふわふわしていて、
お好きな方も多いのではないでしょうか。
お茶会の楽しみのひとつですね。
また、裏千家では「花びら餅」、
武者小路千家では「都の春」が用いられます。
初釜の着物とヘアスタイル
新年をお祝いする一大行事ですので、
やはり着物の装いが華やかで良いですね。
紋付きの色無地や、訪問着、
付け下げや小紋などがふさわしいです。
ヘアスタイルは、
お茶会の間に崩れないようすっきりと
まとめ、スプレーで固めておきましょう。
お茶室では髪や顔を触る仕草はなるべく避けたいですね。
洋服で行く場合は、清潔感のある色やデザインのスーツ、
セットアップなどが好ましいです。
なるべくパンツスタイルを避け、
丈は膝より下で裾が広がらないスカートを選びましょう。
今回は、初釜に用いる飾り物とお正月に適した縁起物
をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
新春の慶びと一年の幸せをお祈りして、
お茶室を華やかに飾ってお迎えしましょう。
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