茶道

千利休の切腹の理由は?

茶道

秀吉の命令で、利休が切腹したのは有名な話です。 
ところが、
なぜ切腹をしなくてはいけなかったのか?
何の罪があったのか?
という点は明らかにはなっておらず、
様々な説があります。
ドラマや映画でも、様々に描かれていますが
複雑な事情があったことは間違いないようです。

切腹への経緯

突然の蟄居命令

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1591年、利休は突然秀吉から、
堺での蟄居を命じられました。

利休は京都から淀川を下って堺へ向かうのですが、
急なことだったので、
利休の弟子のうちでは、古田織部、細川忠興の
二人だけが見送りました。

利休は、切腹する前に茶杓を2本削り、
この二人に与えました。
古田織部は、この「泪」と銘がついた茶杓を、
黒塗で中央に窓が明いた筒に入れ.
位牌代わりとして礼拝していたと言われています。

現在、こちらの茶杓は、徳川美術館が所蔵しています。

namida

切腹へ

秀吉の大名である弟子たちが奔走し、
一度は北政所のとりなしで、
秀吉に謝罪すれば、
命は助かるというところまで漕ぎ着けました。

しかし、利休は
「女性のとりなしを受けてまで
生きたいとは思わない」
として、それを断ってしまいます。

結果、利休は京都に呼び戻された後、
聚楽屋敷内で切腹を命じられました。

切腹後の利休の首は一条戻橋で、
大徳寺三門に設置された利休自身の木像に踏ませる形で
晒されるというひどい仕打ちを置きました。

利休の遺偈

利休忌
利休は切腹の前に、遺偈を残しました。

人生七十 力囲希咄
吾這寶剣 祖佛共殺
提ル我得具足の一ッ太刀
今此時ぞ天に抛

非常に激しい内容です。
利休が自分が死を命じられたことに対して、
納得もしていないし

命乞いの為に頭をさげる気もない
という迫力が伝わってきます。

語られている切腹の理由

秀吉は利休のどんな行動に対して怒りを持ち、
切腹を命じたのでしょうか?

木像の設置

山門

よく知られているのは、大徳寺三門に利休の木造を設置したこと。

大徳寺の三門は、利休の寄進により改修されました。
大徳寺側は、利休に感謝し、
利休の木造を作り、三門の二階に設置しました。

大徳寺の三門は、秀吉が潜ります。
秀吉を足で踏む位置に草履を履いて立っているとは、
利休の奢り、甚だしい
と秀吉が怒ったというものです。

茶器を高額で売りつけた

他に伝わるのは、安価の茶器類を高額で売りつけて
私腹を肥やしたという説です。

利休の審美眼に適ったものが評価されて
取引されたわけなのですが、

確かに真っ黒な楽茶碗、竹を切っただけの花入に
高い値段がつくことは、
現代でも、一部の人は疑問を持っていることでしょう。

いずれにしても、「言いがかり」という感じがします。

 

秀吉 VS 利休

権力者 VS 芸術家

秀吉


信長の死後、秀吉が全国の覇権を把握する迄の期間、

利休は、華やかな大茶会のプロデュースや
武将との間の取りもちなど
秀吉に全面的に協力してきました。

しかし、秀吉が覇権を持った後は、
二人の関係はギクシャクしてきたのではないでしょうか?

権力者として、全て自分の思うままにしたい秀吉
芸術家として、茶の湯の美に関しては
自分の考えを貫きたい利休。

二人が、それぞれ分野のトップに上り詰めた結果の
対立とも考えられます。

政権内部の対立

同じ時期、秀吉政権の内部でも、対立が生じていました。

徳川家康や伊達政宗といった
利休とともに下克上の世を生き抜いてきた戦国武将グループ
石田三成をはじめとする秀吉の下で力をつけた
秀吉政権の新興の官僚グループ
対立です。

朝鮮出兵に向けての処置

秀吉は、朝鮮出兵に集中するために
個人的な利休との対立
利休が属する武将グループと新興グループの対立
この二つを一度に収拾しようとして、
秀吉にも、秀吉政権にも目の上のたんこぶとなった
利休に切腹させたのではないでしょうか。

それが利休にはわかっていたので、
秀吉への謝罪のチャンスを断り、
自分だけが犠牲になることに怒りながら
死に際して、激しい遺偈を残したのではないでしょうか。

 

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