茶道で薄茶用の抹茶を入れる容器のことを棗(なつめ)といいます。
その形が棗の実に似ていることから付けられた名です。
お稽古で棗を扱うことはあっても、棗に抹茶を入れたことのない人もいると思います。
お稽古がすすむと、先生に抹茶を入れるように指示されることもあるので、
ここで知っておくと後々役に立ちますよ。
棗への抹茶の入れ方は?
新しい抹茶を買って蓋を開けた後、少し動かすと
すぐに固まりになってしまったことはありませんか?
抹茶はとても細かい粒子なので、静電気を帯びやすくて固まって
ダマになりやすいのです。
ですから当然そのまま棗に入れて抹茶を点てると、口当たりも悪く、
見た目も美しくありませんね。
おいしく抹茶をいただくために、きちんとこして均一になった抹茶を
棗に入れ替えましょう。
棗に移し替える時には、そのまま缶から棗に入れることはしません。
茶こしを使って、まず違う容器にふるい入れ、
それを茶杓ですくって棗に入れていきます。
また、抹茶篩(ふるい)という道具を使うこともあります。
抹茶を抹茶ふるいの網の目の上に載せ、竹のへらで抹茶をこしていきます。
均一になった抹茶を棗に入れます。
抹茶篩のまま冷蔵庫に入れて保管できるので便利です。
私の先生の教室では、通常の稽古の時にはそれほど大量に
抹茶を使うわけではないので、抹茶篩を使わずに大きめの茶こしを
使って竹のへらで、少しずつこしていきます。
茶会などがある時は前もって、抹茶篩を使ってたくさんこします。
ここで要注意!
今あげた道具、竹のへら、茶杓、茶こしなどは
絶対に水洗いしてはいけません!
茶こしが終わったら懐紙や布で拭きます。
湿気が残っているとせっかくの抹茶の風味を台無しに
してしまうだけでなく、カビの原因になります。
棗の種類と抹茶の入れ方
薄茶を入れる塗物の器を薄茶器と呼びます。
このなかで一般的な形が棗なのです。
大棗、中棗
小棗、平棗
棗を使う時には、抹茶を丸く盛って入れます。
中次型という茶器にはこのような種類があります。
中次(なかつぎ)
円筒形で、胴の中央部に合口があります。
面中次(めんなかつぎ)
蓋の肩衝が面取りされています。
雪吹(ふぶき)
面取りが施されています。雪吹に入れる時には
杉形(すぎなり)というとがらせた形に整えて抹茶を入れます。
茶桶
蓋が浅く面取りされています。
棗について紹介されている記事はこちらの
和美×茶比のサイトのものが参考になります。
和美×茶比
茶道で使われる棗の意味とは?
まとめ 抹茶は丁寧にこして使いましょう!
抹茶は必ずふるったり、こしたりしてから棗に入れましょう。
ふるった抹茶をそのまま棗に入れようとしても、
きれいな山の形にならないですし、こぼしてしまいます。
抹茶篩などの道具を使って、一度綺麗にこされた抹茶を茶杓ですくって
棗にたっぷりと入れていくのです。
もしかすると、自宅で抹茶を点てたことがある人には、抹茶の缶からそのまま
抹茶をすくってお湯を注いでいたかもしれませんね。
そこでひと手間かけてみましょう。抹茶篩がなくても、ふだん使っている
茶こしを使えば大丈夫。
一服分でいいので軽くふるってこすだけで、
細かい粒子の均一になった抹茶ができます。
ふるってこした抹茶は、お湯に馴染みやすくて口当たりがとても良いので、
それまで直接抹茶缶からすくっていたものとは全く味が変わりますから、
是非試してみてくださいね。
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