「残念ながら偽物です・・」
テレビの鑑定番組を見ていると、
本物と信じて購入したお宝が、贋作だった・・
というシーンが頻繁にみられますね。
骨董と言われるものにはかなりの数の
偽物が含まれているということ。
骨董屋が偽物を販売しても、
詐欺の罪には問われないのでしょうか?
偽物の鑑定は難しい!
「永仁の壺」事件はご存知でしょうか?
これは、重要文化財に指定されていた壺(瓶子)が
偽物だったという事件です。
「永仁二年」(1294年)の銘をもつ瓶子が、
鎌倉時代の古瀬戸の傑作であるとして
1957年に国の重要文化財に指定されました。
その直後から、この瓶子は贋作ではないかという疑惑が
ささやかれます。
そして、文化財保護委員会による、科学的分析の結果、
鎌倉時代ではなく、
現代に制作されたものという結論になり、
重要文化財の指定を解除されることと
なってしまいました。
この瓶子は、瀬戸の陶芸家の加藤唐九郎が
自分が制作したと表明していますが
息子である岡部嶺男の作という説などもあり、
真相は闇のままです。
いずれにせよ、文部省の古陶磁の専門家たちが
すっかり騙されてしまったのです。
骨董の真贋の鑑定というのは、それほどに、
難しいものなのです。
そもそも詐欺とは・・
まず、骨董の真贋の判断は難しいということを
頭の片隅に置きながら、
偽物の販売が詐欺になるか確認していきましょう。
詐欺とは、
「人をだまして錯誤におとしいれる違法な行為」
で、刑法上では犯罪です。
つまり、嘘をついて、間違った判断をさせてしまうことが
詐欺罪です。
具体的にはどんな場合なのでしょうか?
骨董屋が、「これは明らかな偽物」と知っていて
それを「本物ですよ」と言って販売した場合は
詐欺罪に問われます。
骨董屋が、陶芸作家とグルになって
古そうに見える茶碗を作り
「これは桃山時代の茶碗ですよ」
と言って販売した場合。
あるいは、どこかで入手した古文書に
偽の鑑定書を作成して、古文書に沿わせて
「鑑定もある本物です」
といった場合。
これらのケースは、詐欺罪に問えるでしょう。
詐欺罪にならないケース
しかし、以下のような場合は、詐欺罪になりません。
偽物を販売した骨董屋が、
仕入れの際に「本物だ」と言われたので、
「本物だ」と信じていた場合。
あるいは、骨董屋自身の判断だけれども、
「本物だと信じている」場合。
これらは、売った側も本物と信じていた訳ですから、
買い手を故意に騙したということにはならず、
詐欺罪には 問えないのです。
実際に、詐欺罪に問えるのか?
最初に説明した通り、骨董品として、
様々な偽物が出回っているのですが
事件化されたケースは多くはありません。
骨董品は偽物を理由として返品することも
なかなか難しいのです。
骨董品は偽物だったら返品できる?
詐欺罪に問うには、
売る方が「偽物と知っていた」ということを
証明しなければならないのですが、
これが非常に難しいのです。
永仁の壺のように、出来のよい贋作は、
古陶磁の専門家でも
見抜けないものですから、
「本物と信じてた」
と言われれば、返す言葉がありません。
それに、本人が「偽物かも」と思っていたとしても、
それは、本人にしかわからないことですね。
制作時点から贋作に関与していた、
あるいは、 偽の鑑定書を作成したという、
物証がある場合以外は、
証明するのは、ほとんど不可能です。
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「偽物を買わされた」
と訴えても、
「いやぁ、私も本物だと信じてたし、
今も信じてますよ」
と言われてしまえば、それまでですね。
「自分も目利きのつもりでいたけど
偽物を掴んでしまって、恥ずかしい・・・」
という気持ちの方も多いでしょう。
結果として、偽物を買わされても、
黙って片付けてしまうという人が
多いようです。
こちらの記事も参考にして、
骨董は信頼できるお店から購入しましょうね。
骨董の鑑定が無料だと危ない?
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