社会人になって事始めという言葉が身近になった
という人も多いでしょう。
読んで字のごとく物事を始める日や、
最初のことを指しますが、暦の上での事始めは
一年でもとても大切な時期を指します。
日本の文化を知る上でも大切な事始めの意味を探ってみましょう。
事始めは良い日?
事始めを英語では
taking up a new line of work, the beginning of things
と訳します。
まさにこれから始めようとするとき、一般的には
事始めに良い日に○○を始めると縁起が良い、
とか運が強くなる、と言われることがあります。
仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに良い日とされる吉日です。
宝くじの購入、財布の購入、口座開設にも吉日とされています。
事始めの由来は、類語で御事始め
もともと事始めは御事始め(おことはじめ)とか、
事八日(ことようか)ともいいます。
どちらも一年のうちで大事な節目となる日です。
御事始め(おことはじめ)
江戸時代、陰暦の12月8日にすす払いなどをして
正月の準備を始めたことを指します。
また主に東国で、陰暦の2月8日に行った、
その年の農事の始めの行事のこと、事始めを指します。
事八日(ことようか)
2月8日と12月8日の行事を指します。
お正月を中心にして12月8日を御事始め、
2月8日を御事納めとしています。
また1年の農作業の始まりとして2月8日を御事始め、
12月8日を御事納めとよぶところもあるのです。
京都の花街では事始めからがお正月
江戸では12月8日が事始めですが、
上方の京都では12月13日が事始め。
祇園の舞妓さんや芸妓さんは、事始めの日に
稽古事の師匠の家や、お世話になっているお茶屋さんなどに
鏡餅を届けて、新年のあいさつをします。
京都の和菓子屋さんでは事始めの鏡餅が売られ、
ひと足早く新しい年を祝うのです。
事始めの使われ方
事始めという言葉は、暦の行事や季節の節目としてだけではなく、
一般社会でもよく使われる言葉です。
資産運用事始め、会社設立事始め、スペイン語事始め・・・
最初に始まるときに概要を説明したり、物事が始まるそのこと自体を指します。
いずれにしても、いよいよスタート!と言う時に使う事始め。
文中で使う時には○○の事始めを説明する、といいます。
茶道で新年といえば・・
京都の芸妓・舞妓さんの世界では12月13日(8日)が
新しい年のスタートであると紹介しました。
さて、茶道ではどうでしょうか?
実は茶道の世界では新しい年は、11月。
その年の春に茶壺に詰めた抹茶を、初めて封を切って飲む大切な
「口切の茶事」からなのです。
そのころちょうど、風炉から炉に変る季節です。
だいたい11月に入ると口切の茶事が催され、
茶壺から出した抹茶を石臼で挽き、
できたての新しい抹茶を点てて飲みます。
これこそが新年を迎える大切な行事。
1月の最初の茶事「初釜」よりも重要とされているほどなのです。
京都の事始めに鏡餅があったように、
お餅の入ったぜんざいなどがふるまわれるのです。
まとめ
物事がスタートする事始め。
縁起かつぎの日として商売の世界でも古くから
馴染みのあるものでした。
暦の中の大切な節目、新しい年の準備を始める事始めの日。
今年の12月はいつもより少し早めに年末の準備をして、
新たな気持ちになって事始めの日を迎えてみてはいかがでしょう。
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