最近のカフェでは、コーヒーは、
「エスプレッソ」「アメリカン」「カフェラテ」など種類があるのに、
「抹茶」というメニューは1種類しかありませんね。
実は、抹茶も点て方によって「薄茶」「濃茶」の二種類があるのです。
どのような違いがあるのでしょうか?
そもそも抹茶とは?
抹茶は緑茶の一種で、蒸してから乾燥させた緑茶を挽いて
粉末にしたものです。
煎茶は、茶葉を湯に浸して成分を抽出したものですが、
抹茶は、湯を加えて撹拌して茶葉ごといただきます。
抹茶を製造する際は、渋みを抑え香りをよくするために、
収穫の20日以上前から茶園全体を覆って日光を遮ります。
収穫した茶葉は、高温で蒸した後に乾燥させます。
その後、葉を砕いて葉脈や茎を取り除き、
臼で引いて粉末にすると抹茶が完成します。
冷蔵庫が一般化するようになるまでは、
新茶の葉は紙袋に入れ、さらに茶壺に入れて封印して保管し、
お茶を点てる直前に挽いて使いました。
11月の炉開きに茶壺を開き、新しいお茶を頂くことが、
今でも茶道の世界で年中行事になっています。
濃茶と薄茶の違いは何?
濃茶と薄茶は抹茶を使うことに変わりはなく、
その違いは一人分の茶の分量と点て方です。
茶杓3杯(3~4g)分の抹茶を1人分として、
たっぷりの抹茶に少量の湯を注ぎ、茶筅で練ったものが濃茶です。
一方、薄茶は茶杓1杯半(1~2g)分の抹茶を1人分として、
柄杓半杯のお湯を注いで茶筅で撹拌したものです。
濃茶がドロリと粘りがあるのに対し、薄茶はサラリとしています。
濃茶の練り方と頂き方
濃茶は「点てる」と言わずに「練る」と言います。
濃茶は、3-4人程度で回し飲みをしますので、
たっぷりのお茶を使って練ることになります。
まず、人数分の量のお茶を茶碗に入れてから、
湯を適量注いで、茶筅で湯と茶を練りあわせます。
この湯を「適量」注ぐのが難しく、少ないと茶筅に茶がこびりつき
多いと湯と茶がうまく混ざり合いません。
私は、先生から、
「親指の先くらい、お茶にお湯がかからない部分が残る程度に注ぐ」
と教わりました。
おそらく、各流派・先生毎に教えがあることと思います。
茶と湯が滑らかに混ざりあったところで、
飲みやすい濃さになるように、湯を足してさらに練り上げます。
濃茶は正客から回し飲みをしていきます。
一人分は「三口半」と言われていますので、その分量を飲むと、
次の客に回していきます。
廻しのみですので、飲み終わった後飲み口を清めたり、
前の人と違うところで飲むなど「清潔」には配慮されていますが、
その方法は流派によって異なります。
薄茶の点て方
薄茶は基本は回し飲みせず、一杯で一人分を点てることになります。
茶杓1杯半の抹茶を茶碗に入れ、柄杓半分の量のお湯を注いで、
茶筅で撹拌します。
裏千家は、泡がこんもりとたつように、
表千家は、泡は表面の7-8割程度で「池」ができるように・・と、
流派によって撹拌の方法は異なります。
濃茶に使う抹茶、薄茶に使う抹茶
濃茶は、色も味も濃厚になるので、上品な香りでまろやかな
よい品質のものを選ぶ方がよいでしょう。
昔、茶壷の中に詰める際には、
紙袋に入れた幾種類かの濃茶用のよいお茶を中心に入れた後、
その周りの空間に薄茶用の物を詰めており、
当初から濃茶と薄茶を分けていました。
現在は、薄茶用か濃茶用かは、茶の名称で判断できます。
濃茶用には、「●●の昔」という銘のものが使われます。
「昔」は、「廿日」(=20日)の文字を合わせたもので、
最上級の茶の初摘みの日である、旧暦の3月20日に
ちなむのだそうです。
濃茶の「昔」に対して、薄茶は「白」の銘が付いています。
江戸時代初期に、「茶を白く」ともとめられた時期があり、
後世、それを濃茶と薄茶の差に置き換えた言われています。
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