卒業シーズンくらいしか、着る機会がないと思われがちな袴。
ですが、”和洋折衷コーデ”や”和装を普段着に”など、自由な感覚で楽しむ着物の装いがトレンドとなっている今、改めて「袴」の良さを見直し、普段使いに取り入れる方が増えてきています。
とはいっても「普通の着物と袴の組み合わせでは、いかにも卒業式っぽく見える」「手持ちの袴をどうコーディネートすればよいのかわからない」など、戸惑ってしまう方もいるかもしれませんね。
今回は、
など、普段使いとして楽しむ袴コーディネートや、着付けが簡単な袴セットなどについてご紹介します。
袴は普段使いしてもいい?
引用元:Instagram-@jerico.195.jerico
もともと、袴は男性用の礼装としてつくられたのがはじまり。
いわゆる武道着としての袴は、武士(男性)の服装が発端になっています。
そんななか、明治から大正にかけて改良された袴は、立ち座りのしやすさや動ぎやすさなどから、やがて女学生や職業婦人たちの通学服や仕事着として愛用されるように。
昔から袴は、女性、男性ともに、普段使い用として活用されてきたアイテムなのです。
袴はさまざまな種類が揃いますが、大きく分けると、袴の中に仕切りがある「馬乗袴(うまのりばかま)」と、中に仕切りがないスカートタイプの「行燈袴(あんどんばかま)」の2種類が一般的。
なかでも「行燈袴」は、歩き方や裾さばきが簡単、かつトイレ時も使用しやすいことから、女性に人気です。
袴の普段使いにはどんなメリットがある?
一見、取扱いが難しそうなイメージがある袴ですが、実はさまざまなメリットが多いのが特徴。
まず、着物と違うのは、断然「動きやすさ」。
マキシスカート感覚で履くことができ、ある程度大股に歩いても大丈夫です。
さらに、ポリエステルやウール、デニム製など、扱いやすい素材が多いのも嬉しいところ。
芯が入っているので、ご家庭での洗濯には注意が必要ですが、絹などと比べてお手入れしやすいのがメリットといえます。
着方も意外に簡単で、着物を裾が短くなるように膝丈くらいで着付けて、その上から袴を穿くだけでOK。
帯は、浴衣と同じ半幅帯を使います。
特別な着付け小物が不要というのも、嬉しいポイントですね。
袴の普段使いで覚えておきたいデメリット
袴を着るときに注意したいのが、袴の形状と素材です。
特に、袴の中に仕切りがある「馬乗袴」は、トイレの度に着付けし直すことになるので、やや面倒。
これから新たに購入される方は「行燈袴」を検討されるとよいでしょう。
さらに、長時間椅子に座ったり、立ち座りの動作が多かったりする場合、素材によっては、袴に入ったシワが取れにくくなってしまうことが。
ウール製なら、専用ハンガーなどで吊るしておけば、ある程度シワが自然にとれてきますが、ポリエステルはシワが付きにくい分、一度付いてしまうと逆に取れにくくなってしまうケースがあります。
下手にアイロンをあててしまうと、袴が部分的にテカテカになってしまうので、その際は、専門店でクリーニングしてもらうのが安心です。
簡単な袴のコーディネート!普段使い例ご紹介
引用元:Instagram-@que_serasera616
ここからは、普段使いとしてのおしゃれな袴コーディネートをご紹介します。
和装、和洋MIXなどのスタイルや、小物を使ったアレンジにも注目してみてくださいね。
まずは、カントリードット模様をあしらったネイビーカラーの着物に、グレイッシュブルーの袴を合わせたコーディネートです。
着物と袴を寒色系でクールにまとめつつ、足元は、暖色系のバーミリオンオレンジのソックスをチョイス。
着物の袖口からのぞく、ブラックのドット柄レースも良いアクセントになっています。
帯はつけずに腰の位置で袴を着用した、スポーティーなコーディネートです。
繊細なラインが交差するブラウンチェックの柄は、通年着回しが効くオールラウンドな一枚。
袴がバギーパンツやロングスカートのように見えるシルエットなので、トップスやジャケットなど、組み合わせるアイテムによって、がらっとイメージが変わりそうですね。
ブラックカラーの袴にTシャツを合わせたコーディネートです。
無地&黒色の袴に合わせ、コーデュロイジャケットもダークブラウンで揃えてシックに。
全て濃色系でまとめてしまうと重くなりがちですが、ブルーグリーンのTシャツを合わせて、程よくカジュアルダウン。
チェーン付きのベルトを合わせ、ややストリートテイストも加味したスタイリングです。
袴を普段使い!ブーツとのコーディネート
もはや定番になりつつある「袴×ブーツ」のコーディネート。
とはいえ、さまざまなラインアップが揃うブーツのなかから、手持ちの袴にぴったり合う一足をなかなか選べない、という方も多いのでは?
まずは、着用した際の全体のバランスが大切。
身長によっても変わりますが、ブーツの筒丈(かかとから履き口までの高さ)の目安は14㎝以上が一般的です。
立っているときはもちろん、歩いて裾が上がったときも足首が見えにくいかどうか、しっかりチェックしましょう。
ヒールの高さは5~8㎝程度が目安ですが、合わせて考えたいのがヒールのデザインや全体のフォルム。
極端に細いピンヒールや、あまりにも寸胴な形状のものを選ぶと、袴との組み合わせが難しくなるケースがあります。
また、ブーツのカラーは、ブラックやダークブラウンなど落ち着いた色にすると、袴の存在感を程よく引き出すことができます。
足元をアクセントにするなら、ベージュやアイボリー、ホワイトなどのブーツを選んでみるのもよいですね。
落ち着いたダークレッドの袴に、ライトグリーンの着物を組み合わせたコーディネート。
ブーツは濃色系を選んで、大人シックにまとめています。
こちらのコーデのポイントは、肩がけしたブランケットコートとベレー。
いずれも温かみのある素材で、見た目のかわいさはもちろん、防寒対策も万全です。
ホワイトカラーの袴に、アンティーク着物を合わせた例です。
足元はピンクのドクターマーチンを合わせて、オリジナリティをアップ。
丸サングラスや赤のベレー、レコード型クラッチと、いずれも個性的なアイテム揃い。
絶妙なバランス感覚でまとめた、上級コーディネートです。
筒丈が長いブーツでなくても、さまになるのが袴コーディネートの懐の広さ。
着物と袴にベーシックなカラーを選ぶなら、靴紐のカラーでアクセントをつけてみるのもよいでしょう。
ブーツのカラーやデザイン次第で、普段着使いの袴姿をよりおしゃれに見せることができますよ。
袴を普段使いしたい!男はどんなアレンジが良い?
男性用の袴では、股上がズボンのように分かれている「馬乗袴」が、動きやすさとデザイン面で特に人気です。
仕事着やちょっとしたお出かけ用なら、濃紺系や墨色などの渋めのカラーから選ぶと、着物はもちろん、洋服などとも組み合わせがしやすいでしょう。
袴の素材は、木綿やウール、麻のほか、デニム仕様などもおすすめです。
引用元:Instagram-@hitoiki_koukichi_net
また、男性用の袴のなかには、普段着専用とされる「野袴(のばかま)」と呼ばれる仕様も(画像参照)。
足首にかけて細くなっているシルエットが特徴で、階段を上がったり、自転車に乗ったりなど、動きやすさが格段にアップします。
いずれの袴とも、インナーにタートルネックやスタンドカラーシャツを合わせたり、ストールや帽子、ブーツなどと組み合わせたりするなど、カジュアルに着崩したアレンジがよく馴染みます。
引用元:Instagram-@profond_plus_noir
こちらは、濃色系の袴にブーツを合わせたコーディネート。
ファーの帽子やファーコートなどを組み合わせ、ブラウン系カラーでシックにまとめています。
黒色の馬乗袴に合わせて、スニーカー、ジャケット、帯などオールブラックで統一した例。
袴以外はすべて洋系でまとめ、大人モードなテイストに。
着付けが簡単な袴は普段使いに◎
着物と比べると、比較的簡単に着付けができる袴ですが、それでもある程度の時間はかかってしまうもの。
どうしてもスムーズに着るのが難しいという方は、「簡単に着られる袴セット」を試してみましょう。
襦袢や難しい帯結びは不要で、手順は”袴を穿いてリボンを結ぶだけ”とシンプルかつ簡単。
毎回、着付けが時短になるほか、着用後のケアもラクラクです。
気になられる方は、ネットで「簡単 袴セット」のワードで検索してみてくださいね。
また、お手持ちの袴で、セルフ着付けをされる方におすすめしたい動画はこちら。
着付けのコツさえ掴めば、どなたでもスムーズに着られるようになります。
まとめ
昔から、仕事着や通学服として愛用されてきた袴。
女性用、男性用ともに豊富な種類が揃いますが、いずれも普段使いのカジュアルな装いにぴったりです。
袴のメリットはさまざまありますが、なかでも、動きやすさや着付けのしやすさ、コーディネートアレンジのしやすさが特徴。
特に、中に仕切りがない「行燈袴(あんどんばかま)」は、脱ぎ着がしやすいので女性に人気です。
一方、男性なら、股上がズボンのように分かれている「馬乗袴(うまのりばかま)」のほか、裾がすぼまったシルエットの「野袴(のばかま)」などもよいでしょう。
いずれの袴も、着物はもちろん、タートルネックやカラーシャツなど洋服との相性が良いので、和装、洋装、和洋MIXスタイルなど、お好みでコーディネートをアレンジすることができます。
ブーツやシューズ、帽子、ベルトなど小物類を上手く取り入れながら、オリジナリティ溢れる装いを楽しんでみてくださいね。
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