日本史上、空前絶後のバブル景気に沸いた時期、
それは信長、利休、秀吉ら超ド級歴史人物が活躍した桃山時代です。
利休から古田織部、小堀遠州へと受け継がれていく茶道の中で、
これほど華やかに発展したやきものはないでしょう。
今回はバブル桃山時代の代表的なやきもの、日本の誇る美濃焼を紹介します!
美濃焼の特徴は?
美濃焼は現在の岐阜県多治見市、土岐市、瑞浪市などを一大産地とした、
日本を代表する陶器です。
古くは古墳時代の須恵器から作られ、桃山時代には茶道の隆盛と
共に斬新な美しさで世を席巻します。
中でも、黄色い黄瀬戸(きせと)、茶道の茶碗のみ作られた
漆黒の瀬戸黒(せとぐろ)、白磁に似た白っぽい志野(しの)、
緑色が印象的な織部(おりべ)など、それぞれが独特の特徴を持ちます。
特に織部焼はその斬新な歪んだ形や独創的な文様が
当時の華やかで自由な時代の薫りが前面に出されています。
黄瀬戸焼
中国からもたらされた唐物の茶碗や、
中国の陶磁器に似せた陶器がまだ多かった日本のやきもの。
その中で黄瀬戸は日本独自の和物の陶器の始まりを告げるものとして、
やきもの史上重要な意味を持ちます。
草花などの文様が彫られ、鉄の顔料でこげ茶色に彩られています。
黄金色の釉(うわぐすり)が美しいものが特に重要で、
その風合いから「油揚げ手」と呼ばれています。
志野焼
中国からもたらされた白い磁気「白磁(はくじ)」は
青い「青磁(せいじ)」とともに日本人にとってあこがれの磁気でした。
志野焼は半透明の乳白色の釉で白磁に似た
白いやわらかな焼きあがりになっています。
さらに、これまで円形の茶碗が常だったものに
歪みを作り変形させたことも非常に新しい製法でした。
桃山時代の茶碗に特徴的なのがこの歪みで、
志野焼きで四角い食器を作ったこともセンセーショナルな出来事です。
モダンな織部焼の特徴とは
黄瀬戸、志野ときて、桃山時代を代表する美濃焼はやはり織部焼。
千利休の薫陶を受けた、古田織部が好んだことから、
後年こう呼ばれました。
南蛮貿易で色鮮やかな渡来品が人々目を楽しませるようになったこの時代、
それまで利休が好んだ渋くて詫びた風情のものとはある意味対極的な、
エキゾチックな緑色、自由で見た目にも楽しく豪快なフォルム、
粋な人々や茶人に好まれるファッショナブルな焼き物として
一世を風靡するのです。
- かつてない驚愕の織部焼のかたち
古田織部の茶会に招かれ豪商が、出された茶碗を見て心底驚いたというのが、
利休が好んだ宗易形と呼ばれる半筒形のシンプルな茶碗ではなく、
茶碗が大きく歪んでたわんでいる織部焼。
まるで現代アートにも通じるような勢い溢れるその形は、
神官が履く靴のイメージから「沓茶碗」と呼ばれました。
茶碗だけでなく、古田織部が関わった水指には
大胆な割れ目が入っていたりとこれまでにない意匠がこらされています。
- バブルの気風の織部焼
戦乱の時代が終わりを告げ、マカオやポルトガルとの交易で
経済の繁栄を極めていた京都や堺では、豪商達が当時の最先端の
衣装や物を持ち歩き、人々は好景気に浮足立っていました。
これまで実用的なものとしてしか扱われていなかったやきものが、
ゆとりある生活の始まりと共に、見て、触って楽しむもの、
つまり観賞用として独自性を持つようになったのです。
織部焼きを中心とする美濃焼はこの
桃山バブル期の気風を色濃く反映しています。
美濃焼の他にも代表的なやきものをこちらで紹介して
いますのでご覧になってくださいね。
茶道で使う茶碗の種類vol1~楽・萩・唐津
身近な食器として使えるやきもの
美濃焼の中でも特に織部焼はその独特の緑色やバリエーションに富んだ形で、
和食や洋食を問わずに広く使われていて人気です。
茶道を始めて、茶碗が欲しいと思ったら気軽に買える
セットもあるので、是非手にとって見てください。
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志野茶碗(抹茶茶碗)
抹茶初心者セット(織部焼 抹茶碗・茶筅の2点)
美濃焼の発展した華やかな時代を知ると、
不思議と織部焼きを使いたくなってしまうのは私だけではないでしょう。
やきものを知ることも、茶道の大きな楽しみの一つです。