手や指でいろいろな形を作り、菩薩や仏への誓いを示す行為である「手印(しゅいん)」
人気キャラクターである呪術廻戦の「五条悟」が繰り出す領域展開や、NARUTOの主人公である「うずまきナルト」が影分身の際に使っていることでも有名です。特に、五条悟が行っている手印は多くの人がマネをしていますよね。
今回は、片手で行う手印や両手を使って行う手印など、様々な手印についてまとめてみました。
それぞれの手印の意味もご紹介しますので、ぜひご覧になってください。
手印とは
手印は「印相(いんそう)」とも言われており手の指で形を作り印を結ぶことをいいます。
仏教においては手印は本来定まった規則性はありませんでした。密教が伝わるにつれて意味が生まれ、説かれるように。現在では、地域によっても意味合いが異なっています。
手印の歴史はバラモン教の祭祀が行っていた踊りが元になっており、「ムドラー」というジェスチャーがそれに当たります。ムドラーは現在の密教の手印に似通っているものが多数存在しています。
その後、ムドラーだけではなく古代のインドにおける神々などの要素も盛り込まれ、様々な形が作られるようになっていきました。
手印の効果は?
手印を行うことで菩薩や神様・仏様への悟りを開き、倣うことで力を受け取ったり菩薩や神様と一体化をすることができます。
ヨガにも取り入れられ身体の浄化などに使われている他、手を組むことで幸福を受け取ることができるとも言われています。しっかりと印を結び、祀らなければ災いが起こってしまうのだとか。
手印一覧&意味【種類】
手印には様々な種類があります。片手で行えるもの・両手を使うものがあり、その中には有名な手印もあるため見覚えがあるものもあるかと思います。
ここからは、定番の手印・アニメでも見たことがある手印などを紹介していきます。
1つずつ、簡単なイラストとともにご紹介しますので、真似してみてくださいね。
手印一覧【片手編】
ここからは、片手で行える手印をご紹介します。
片手を使う手印は至ってシンプルなものが多く、覚えやすいかと思います。
すぐに覚えてしまえる片手の手印を4つ、まとめてみました。
施無畏印
奈良の大仏が、この手印を行っていることでも見覚えがあるのではないでしょうか?
右手の指を伸ばし、手のひらを前に向けたまま肩の辺りに添える手印を「施無畏印(せむいいん)」といいます。
施無畏の功徳を示している印相であり、「神様からの至福と保護を与える」という意味で使われます。安心・安全だと思ってもらうための手印で、恐れを取り除く効果があります。
与願印
続いても奈良の大仏でお馴染みの手印、「与願印(よがんいん)」です。
左手、または右手の手のひらを上に向け、指を下に向けたまま前に差し出します。
与願印は、その名前の通り「願いを叶える」という意味があり、仏様が人々の願いを聞き入れて成就させることを示した印相になります。
触地印(降魔印)
お釈迦様が悟りを開こうとした際、修行を邪魔するべく悪魔の軍勢に襲われました。様々な誘惑を使い、人々を動かしては妨害をしようとした悪魔を、お釈迦様は退かせ勝利を収めます。
その際に用いられたのが、地面に手を下ろして触れさせる「触地印(そくちいん)」と呼ばれる手印です。この手印は他にも「降魔印(こうまいん)」とも呼ばれ、魔を退ける効果があると言われています。
帝釈天
呪術廻戦の五条悟が行っていることで一躍有名になった手印「帝釈天印(たいしゃくてんいん)」は、その名の通り帝釈天にまつわる手印です。人差し指を伸ばした中指に引っかけるようにして印を作ります。
元々インドの神様でもある帝釈天は、古くからお釈迦様を手助けしたり説法を聞き、梵天とともに仏教の二大護法善神(にだいごほうぜんじん)にもなりました。
神の中でも最強とも言われる帝釈天、そのパワーをいただける手印となっています。
手印一覧【両手編】
続いては、両手で行う手印をご紹介します。
片手だけの手印に比べると指や手の組み方が複雑な形のものが多く、もしかしたら指がつってしまう…ということもありえるかもしれません。
そんな両手での手印、定番のものを5つまとめてみました。
普賢菩薩
普賢菩薩(ふげんぼさつ)は、心の安寧を保つとされる神様の1人です。
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)とともに釈迦如来(しゃかにょらい)の左側を固め補佐をする神様として扱われることが多いのですが、古くから女性を救う「女人救済の仏」として女性たちから厚い信仰を得ています。
普賢菩薩の印は、親指と薬指を曲げて合わせ、中指と小指を伸ばしてくっつけつつ、人差し指は離したままにして印を組みます。普賢菩薩の手印を行いながら真言を唱えると、災いを避けて寿命を延ばすと言われ、さらに幸福を呼び込む効果もあります。
摩利支天
摩利支天(まりしてん)は、日の光や陽炎が神格化した神様で、自在に神通力が使えるとも言われています。常に身近で人々を守っている護身の神様としても信仰を集めていました。
日の光を背に姿を隠したまま阿修羅と戦ったとされる戦いの神様でもあるので、一切害されることもなく不敗の力を持つとも言われています。
「摩利支天印」は、中指を伸ばした人差し指に引っかけ、薬指と小指は曲げて絡ませます。手印を組み、摩利支天に願えば全ての厄災や障害を避け、願いを成就できるとされています。
毘沙門天
古代インドから伝わってきた毘沙門天(びしゃもんてん)は「戦いの神様」や「五穀豊穣」など、利益を授けてくれる七福神の一柱としても知られています。
その毘沙門天に祈る「毘沙門天印」は親指を絡ませない方法と2つあるのですが、今回は絡ませる方の手印をご説明します。人差し指と中指を伸ばし中指だけを合わせ、親指・薬指・小指は曲げて絡ませます。胸の前で手印を組めば、毘沙門天印の完成です。
手印を組み毘沙門天に祈れば、「無病息災」や「戦勝祈願」など、人に関わる全てのことに効果があると言われています。どうしても負けられない場面がある際に、この印を組んでみてもいいかもしれません。
上品上生
阿弥陀様が組んでいることでも有名な「上品上生(じょうぼんじょうしょう)」は、九品往生(くほんおうじょう)と呼ばれている9つの印相の1つです。九品、また3つある上品往生(じょうひんおうじょう)の中でも最上級に値しています。
印の組み方は、親指と人差し指で輪を作るようにして合わせ、他の指は伸ばして重ね合います。そのまま胡座をかいた上に置けば完成です。
上品上生は、「人々の中でももっとも早く極楽浄土へ行きたい」と願うこと。慈悲の心・真の心を持ち、経典を読破し理解して仏を信じる人が上品上生を組み祈りを捧げることで、極楽浄土への道が開かれるそうです。
降三世明王
「降三世明王(こうぜんざみょうおう)」とは、仏教における明王の1人です。阿閃如来(あしゅくにょらい)や大日如来の化身とも言われています。過去・現在・未来の世界にはびこっている人間の欲や怒り、愚痴の3つを退治すると言われていました。
その降三世明王だけがしている手印「降三世印」は、2本の手を正面でクロスしたまま両手の小指を引っかけ、中指と薬指を軽く曲げて胸の前に置きます。
手印を組むことで「悪魔退散」や「怒りを抑えること」「煩悩除去」への効果があるとされています。
光明真言の手印一覧
仏教の中でも効果が絶大だと言われている「光明真言(こうみょうしんごん)」にも手印があります。
宇宙の中心に存在すると言われる大日如来(だいにちにょらい)は、祈りを捧げるだけでも全ての災いから身を守り、どんな場所でも使用することができる凄い効力を持った神仏です。何度も祈りを捧げることで、人生に輝かしい光を与えてくれるそう。
そんな光明真言からも手印を2つご紹介します。この手印を覚えて、ぜひ幸運を願ってみてくださいね。
智拳印
重要文化財になっている大日如来坐像で見られる「智拳印(ちけんいん)」は、最上級の印だと言われています。
右手で伸ばした左手の人差し指を包み、胸の前で印を組むことで大日如来に祈りを捧げます。元々は古代インドから伝わったとされ、インドでは清浄な手を意味する右手が仏を表わしており、不浄とされる左手が全ての生命を意味しています。
最上級の悟りの境地を開き、平穏な生活を送ることや、心願が成就する効果があるとされています。
法界定印
同じく、大日如来に通じる手印である「法界定印(ほっかいじょういん)」も最高級の印と言われます。
胡坐をかいた膝の上に両手を乗せ、親指を合わせながら他の指を伸ばして重ね合わしつつ精神を落ち着かせます。よく、座禅をしている際に行う手印が法界定印にあたるので、覚えておくといいかもしれません。
法界定印を組むことで、体・心・息が統一されていく三昧の境地に入ると言われています。この状態が安定することで、邪念や雑念を払って精神が定まっていくそうです。心がどうにも落ち着かない…という時は、法界定印を組んでみると落ち着くかもしれません。
コメント
摩利支天の印が違うと思う
不動明王の不動金剛印じゃないの?