和服や仏壇に使われ、血筋や家柄を示す家紋。人気ドラマやゲームなどで見る機会があっても、自分の家紋となると知らない方も多いのではないでしょうか?
核家族化が進み、親戚付き合いも疎遠となっている現代では、自分の家紋を調べるだけで一苦労です。
法的規制がないため好きに選んで使用しても問題ないと言えますが、中には使ってはいけない家紋も存在します。
知らずに使用すると訴訟される恐れも。
そこで、今回は家紋についてまとめました。
▼この記事に書いてあること
家紋は慎重に選ばなければ、後々の遺恨に繋がりかねません。ぜひ新しい家紋作りの参考にしてくださいね。
使ってはいけない家紋とは
2万個以上あると言われる家紋で、使ってはいけない、もしくは使用を控えたほうがよいとされるのは次の5種類です。
それぞれ詳しく説明します。
商標登録されている家紋(独占家紋)
当たり前ですが、商標登録されている家紋は勝手に使用ができません。無断使用で訴えられる恐れもあります。
企業 | マーク | 概要 |
---|---|---|
三菱グループ | 三菱マーク | 「三階葵」と「三つ柏」を組み合わせたもの |
シマヅ | 丸に十字 | 薩摩藩島津家の家紋 |
ミツウロコ | 三つ鱗 | 創業者の家紋を図案化 |
トモエ算盤 | 左三つ巴 | 創業者の家紋をそのまま使用 |
伊達家伯記念會株式会社 | 竹にスズメ、仙台笹 | 伊達家の家紋 |
ざっと調べただけで、これだけ商標登録されている家紋がありました。主に企業のロゴマークとして使用されている場合がほとんどです。
他にも商標登録されている家紋はたくさんあるため、気に入った家紋があったら使用前に一度特許庁のホームページで調べてみましょう。
菊花紋章
菊花紋章は皇室の紋章です。
明治時代には法的に使用が禁止され、戦後に解除されましたが、使用を控えるのが暗黙の了解となっています。
「お好きにどうぞ」と言われても、恐れ多くて使えないですね。
桐紋
豊臣秀吉の家紋としても有名な桐紋。現在でも日本政府が使っていて、レンタル衣装に入れられている場合があるため、見る機会は多いかもしれません。
本来桐紋は皇室の象徴として権威のある紋章でした。しかし、菊花紋章と違い、時の権力者に下賜された褒美の側面を持っています。
朝廷から桐紋を賜った豊臣秀吉も、惜しげもなく配下に与えていました。
多くの武家の家紋となった桐紋がレンタル衣装に使われるようになったのは、家紋を知らない、持っていない場合の利便性を考慮したのが始まりと言われています。
懐の深さを持つ桐紋ですが、せっかく作ってもレンタルと思われる可能性が高い紋章です。特に着物に入れる場合はおすすめできません。
さらに日本政府が使用していることを考えると、桐紋の使用は控えたほうがよさそうです。
三つ葉葵
徳川の家紋として有名な三つ葉葵。
江戸時代に幕府が使用を禁止し、徳川の世になる前から葵紋を使用していた家は、家紋を変更したほど権力の象徴でした。
権威を保っていた葵紋も明治維新とともに禁止令は廃止され、現在は規制されていません。
しかし、誰もが知る家紋であるため、無用なトラブルを招かないためにも葵紋の使用は避けたほうがよいでしょう。
有名戦国武将の家紋
戦国武将の家紋を使用しても、商標登録されていなければ問題はありません。
しかし、戦国武将の家紋は「この家紋といえば〇〇家」というイメージが広がっている場合が多いもの。特に歴女の言葉がはやり、刀剣ブームや戦国ブームが続いている今、有名武将のファンも多いでしょう。
家系や血筋への説明を求められたり、変な勘繰りを受けたりする可能性があるので、使用を控えることをおすすめします。
家紋は自分で作れるの?
基本的に家紋に著作権はないため、誰でも自由に作れます。
2022年10月現在の法律で著作権が認められている期間は、著作者の死後70年までです。多くの家紋が作られたのは戦国時代なので、ほとんどの家紋の著作権は消えています。(参考:文化庁)
調べてみても自分の家紋がどうしてもわからない場合は、自分で新しく作ることも検討しましょう。
こだわりを持ってオリジナル家紋を作りたい場合は、次のような方法があります。
- 自分でデザイン
- プロに依頼
- アプリやサイトを活用
自分でデザインする方法は、苦手な方にとってハードルが高いかもしれません。
お金はかかりますが、プロに頼めば時間も節約でき、さらに満足度の高い家紋に仕上がるのでおすすめです。スキルを販売する人気サイトでも家紋を作るサービスがあります。
最近はパーツを選び組み合わせて家紋を作る無料アプリやサイトもありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
家紋の商標登録の仕方とは
よほど簡単な図柄でない限り、自分で作った家紋は要件を満たせば商標登録が可能です。
商標登録は以下の流れで行われます。
- 調査
- 出願
- 審査
- 登録
4つのステップで最も大切なのが調査です。出願の前に商標登録したい家紋が登録可能か調べる必要があります。
無料で商標を検索できるサイトで、同じ家紋がすでに登録されていないか一度調べておきましょう。
オリジナル家紋ではなく、伝統的な家紋を商標登録する場合は、異なるルールが適応されるので注意が必要です。
過去には菊花紋章と葵紋に加えて、「六文銭」や「結び雁金」など有名な家紋が拒否されたケースも。
家紋の商標登録を考えている場合は、特許庁「家紋からなる商標登録出願の取扱い」や「商標審査便覧」の一読がおすすめです。
法的規制はなく自由に作れる家紋ですが、最低限のルールは存在します。
将来まで長く使うものなので、新しい家紋で子孫が恥ずかしい思いをしないように、きちんと把握してオリジナル家紋を考えてくださいね。
コメント
初めまして。自分で家紋を作りました。
お爺さんの家紋丸に揚羽蝶とお婆さんの家紋丸に違い矢をアレンジしたのですが、これからその紋を使って行きたいのですが、家紋登録は出来るのでしょうか?