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歌舞伎のセリフの種類は?有名な台詞回しや名台詞・名言まとめ

歌舞伎

歌舞伎の名台詞

美しい景色を前にした時に、「絶景かな、絶景かな」と声が出そうになります。
この「絶景かな、絶景かな」ですが、歌舞伎の有名な決め台詞だと知っていましたか?

現代でも多く残っている決め台詞ですが、見得と同様に、役者の見せ場を教えてくれる便利なものです。

「便利だろうけど、歌舞伎のセリフは難しいし見得だけで十分だよ」という方、有名な決め台詞をあらかじめ知っておくだけで、見どころがわかり、より演目がわかりやすくなりますよ。

などを知って、歌舞伎のセリフについて知識を増やしましょう。

歌舞伎の台詞回し!いい役者の条件とは?


引用元:歌舞伎用語案内

いい役者の条件は、「一声、二顔、三姿」と言われ、一番大事なのは容姿よりも、声や台詞回しです。

声に重きが置かれるのは歌舞伎に限らず芸能というものが、口承という音によって現在まで伝わってきたという点が大きいです。
また、昔は照明器具もないため、薄暗い中で演じられており、視覚的に芸能を楽しむのが難しく、決め台詞や音楽を聴いて劇の場面展開を理解していました。

歌舞伎の名台詞!有名な名言まとめ

「知らざあ言って聞かせやしょう」

「白浪五人男」と言われる、歌舞伎の名作「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」の有名な台詞。
鎌倉の呉服店「浜松屋」で、婚礼の衣装を買いに来た武家の娘の正体が、実は盗賊の弁天小僧菊之助だったという場面に言われます。

正体がばれた時に、「(お前の事など)知るものか」と言われた後、開き直って「知らざあ言って聞かせやしょう」と自分の生まれや悪事の話をし、「名さえ由縁の弁天小僧、菊之助たぁ俺がことだ」と名乗ります。

正体がバレる前の娘から、バレた後の男性的で荒い演技に変わるところが見どころです。

「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」

「三人吉三(さんにんきちさ)」と呼ばれる「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」の有名な台詞。
「大川端の場」で、女装の盗賊お嬢吉三が、百両をもった少女から財布を奪い川に突き落とす場面に言われます。

お嬢吉三の台詞は「厄払い」と言われ、江戸時代の節分の厄払い風習を元にしたお話から始まり、たまたま出会った少女から、百両という大金が苦労もなく奪えて、「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」と結ばれます。

「絶景かな、絶景かな」

「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の有名な台詞。
楼門五三桐は、有名な大泥棒石川五右衛門のお話で、五右衛門が泥棒をはたらき追手に追われ、京都の南禅寺の山門の上で、満開の桜の花を眺める場面で言われます。

五右衛門は、お世話になった明智光秀の敵を討とうと、豊臣政権の転覆を図って釜茹でにされた人物。
大泥棒でありながらも、義を尽くす五右衛門は歌舞伎でも人気のあるキャラクターです。

歌舞伎のセリフの種類は?どんなのがあるの?

名乗りセリフ

役者が初めて登場した際に、自らの素性を語り名前を名乗るのが「名乗りセリフ」です。

初登場の際に名乗るというのは、歌舞伎の先行芸能である能や狂言で元々使用されており、能や狂言を歌舞伎化した松羽目物(まつばめもの)という歌舞伎のジャンルで名乗りは多く見られます。

「勧進帳」の名乗りセリフが有名で、幕開きに関守の富樫左衛門が名乗ります。

渡りゼリフ

複数人の役者が、一連のセリフを一列に並んで次々に受け渡していき、最後に一斉に同じセリフで締めくくるのが「渡りゼリフ」です。

「弁天娘女男白浪」の稲瀬川勢揃いの場の渡りゼリフが有名で、五人男がそれぞれの持ち味を生かし名乗る場面は、歌舞伎の中でもよく名セリフとしてあげられます。

割りゼリフ

複数人の役者が、自分の心境などの思いを交互に独り言のようにしゃべりながら、最後には同じセリフで終わるのが「割りゼリフ」です。
悩んでいる者同士がセリフを交互に言い、「こりゃどうしたら、よかろうなあ」と締める場面が割りゼリフではよくあります。

「十六夜清心(いざよいせいしん)」の、清心と求女も死にきれない思いなどを交互に言い、最後に「こりゃどうしたら、よかろうなあ」と結びます。

歌舞伎の名セリフ!どんな口調なの?


引用元:Pinterest

名セリフは、七音五音が連なった七五調のリズムです。
七五調の日本語は、耳障りの良いリズムのため、記憶にも残りやすいです。

名セリフと言われる作品の多くは、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者の河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)により作られたもの。

黙阿弥のセリフは、黙阿弥調と言われ華美で叙情的、題材として暗い内容であっても、全体として陰鬱さに飲み込まれない叙事詩となっています。

歌舞伎の名セリフの本はあるの?おすすめは?


引用元:新潮社

歌舞伎評論家赤坂治績による、セリフから入る歌舞伎の入門書。
近松門左衛門から河竹黙阿弥まで、歌舞伎作家ごとに章立てし、41の名セリフを紹介した本です。
「出合う所が百年め」や「人は見掛けによらないものだ」など、現代でも聞いた事のあるセリフが満載。
セリフが言われた状況の解説もあり、セリフに興味を持って、その演目が見たくなる一冊です。

タイトル知らざあ言って聞かせやしょう: 心に響く歌舞伎の名せりふ
著者名赤坂 治績
出版社新潮社(新潮新書)

まとめ

いい役者の条件とは「一声、二顔、三姿」と言われ、容姿よりも、声や台詞回しが一番
歌舞伎の名セリフの口調について七音五音が連なった七五調のリズム
歌舞伎の名セリフの本について「知らざあ言って聞かせやしょう」がおすすめ

いかがでしたか。

新年の初売りなどでよく見かける「こいつは春から縁起がいい」というセリフも、歌舞伎がルーツだったのですね。
「どんでん返し」や「二枚目」という言葉も歌舞伎がルーツの言葉で、歌舞伎を見た事がなくても、意外と歌舞伎の語というは生活に馴染みのあるものです。

これからリズムの良い七五調のセリフを耳にする機会があったら、是非そのルーツを探ってみて下さい。
意外にも歌舞伎だったという事があるかもしれません。
歌舞伎にルーツのあるセリフに出会ったらその時は是非、演目の内容まで注目してみて下さいね。

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