PR

歌舞伎に女性が出演できない理由!何歳まで出られるの?

歌舞伎

歌舞伎女性

女性以上に女性らしい、歌舞伎の女形。外面の美しさや所作など、思わず見惚れてしまいますね。

女性役も男性が演じる歌舞伎ですが、そもそもなぜ女性が演じないのかご存知でしょうか?

今まで疑問に思わなかった方は、女性が始めた芸能がどうして男性だけの芸能になったのかがわかれば、歌舞伎の美しい魅力がより深く味わえますよ。

今回の記事では

など、歌舞伎の歴史を歌舞伎と女性との関係性を中心に学んでいきましょう。

歌舞伎に女性は出演できない?


引用元:Pinterest

例外として女の子が子役として、舞台に立つ事はできますが、原則的には歌舞伎に女性は出演できません。演目の中の女性の役はすべて、女形の男性が演じます。

ただ現代では「女性でも歌舞伎役者に」という動きもあり、新しい歌舞伎表現と言われる「六本木歌舞伎」にて、2017年歌舞伎界の名跡尾上菊五郎の娘、寺島しのぶが「座頭市」で歌舞伎の舞台に立ちました。

歌舞伎座など由緒ある舞台への出演は、現代でも難しい状況は変わりませんが、これからは女性でも歌舞伎役者になれる時代が来るかもしれません。

歌舞伎で女性役者が禁止の理由はなぜ?

女性の歌舞伎が、風紀が乱れるという理由で江戸時代に禁止になったためです。

もともと歌舞伎の創始者は阿国という女性で、阿国が始めた踊りが歌舞伎の起源と言われています。阿国の踊りは異性装を特徴とし、男装をした阿国と女装をした阿国の夫が濃密に戯れるというもの。

特異な快楽に観客は高揚し、踊りの最後には演者と観客が入り乱れるなど色事の強いものでした。

阿国の歌舞伎踊りは京の街で瞬く間に人気となり、若い遊女や女性芸人の間で大流行、各地に女歌舞伎、遊女歌舞伎が氾濫します。

寛永6(1629)年、江戸幕府は風俗上の問題から、二度と女性に歌舞伎踊りをさせないと女歌舞伎と遊女歌舞伎に禁令を下します。

この禁令の慣習が今日でも残り、現代でも歌舞伎に女性がいない理由となっています。

歌舞伎で女性が出られるのは何歳まで?


引用元:Pinterest

明確ないつまでという年齢制限はなく、慣わしでは女の子が初潮をむかえるまでとされています。

女の子であればどうして舞台に立てるのかについては、歌舞伎の子役のセリフと見た目に理由があります。子役のセリフは抑揚のない一本調子の言い回しをし、この独特の言い方であれば、男の子でも女の子でも聞いていて違和感がないのです。

見た目も子供はまだ顔の目鼻立ちが曖昧で体格差もなく、子役であれば性別なく演じる事ができます。

また、子役はいつから舞台に立てるのかについては、こちらも明確なきまりはありません。

「初お目見え」という初めてお客さんに顔を見せる、セリフなどのない役であれば2歳から、「初舞台」という、セリフもある一人前の子役として舞台に立つ場合は、4歳くらいからが多いです。

歌舞伎は女性が歴史の起源?


引用元:Pinterest

歌舞伎の始まりは、400年以上前の阿国(おくに)という女性の踊りが起源といわれています。阿国は独特のスタイルを持ち、女性なのに男装をしたりと、奇抜なファッションで踊っていました。

奇抜な身なりや言動を当時は、「傾(かぶ)く」と表現し阿国はまさにかぶく者で、阿国の踊りは、かぶく者の踊り「かぶき」と言われるようになりました。

阿国歌舞伎は、人気も高く特に遊女や女性芸人など歌舞伎女性の間で大流行。しかし、享楽的な舞が風俗上問題があると江戸幕府に禁止されてしまいます。

女歌舞伎や遊女歌舞伎が禁止となり次に勢力を得たのが、「若衆(わかしゅ)歌舞伎」でした。若衆はジャニーズ事務所のような、美少年を中心とした集団。

若衆歌舞伎も、現代でいうBL的な要素が強かったため禁止となり、その後は売色要素をなくした成人男性で構成される「野郎歌舞伎」となりました。

歌舞伎初の女性役者?市川ぼたんとは


引用元:Pinterest

市川ぼたんとは、七代目市川團十郎の舞踊を、九代目市川團十郎が磨き上げて創り上げた日本舞踊「市川流」という流派の継承者の名前です。

日本舞踊ならびに歌舞伎の名跡の1つです。

2019年に十一代目市川海老蔵の娘、堀越麗禾(れいか)が四代目市川ぼたんを襲名しました。

二代目市川紅梅が初代市川壽紅(じゅこう)を、市川海老蔵の妹の三代目市川ぼたんは、四代目市川翠扇(すいせん)を襲名し話題となりました。

四代目市川ぼたんとして、「市川會三代襲名披露」での演目「羽根の禿(はねのかむろ)」では、三味線の音に合わせてかわいらしい舞を披露しました。

女形の歌舞伎俳優ってどんな役?

▼女形の人間国宝、五代目坂東玉三郎「藤娘」

女性役をつとめる歌舞伎俳優を女形(おんながた、おやま)といいます。

メイクや髪型など外面的な技術で女性らしさを演出しているのはもちろん、仕草や言葉遣いなど役者の修練によって、本物の女性以上に女性らしい女形。登場するだけで、歌舞伎の舞台をより華やかにする存在です。

女形に対して、男性役全般を立役(たちやく)といいます。

歌舞伎役者の女形と立役の区別は曖昧な点があり、真女形と呼ばれる坂東玉三郎や、中村芝雀を除いては、女形が立役を演じたり、立役が女形を演じる場合もあります。

また、青少年期は女形を演じていた役者が、役者の年齢的な成長にあわせて立役を多く演じるケースもあります。

女形で押さえておきたい有名どころの役者、演目、大役についてまとめてみました。女形に興味が出てきた方は是非チェックしてみてください。

役者

まずは真女形といわれる役者2名のチェックから、ビジュアルが美人など単純な理由でファンになるものよいです。

  • 坂東玉三郎(五代目)
  • 中村芝雀(七代目)
  • 尾上菊之助(五代目)
  • 中村七之助(二代目)
  • 中村梅枝(四代目)

演目

女形の歌舞伎といえば「京鹿子娘道成寺」、「伽羅先代萩」の政岡の演技にも注目です。

  • 京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)
  • 阿古屋(あこや)
  • 藤娘
  • 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

大役

歌舞伎の赤姫(お姫様の役の呼び名)の中でも、特に至難な役と言われる三つの代表的な大役が「三姫」です。

  • 八重垣姫「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」
  • 雪姫「金閣寺」
  • 時姫「鎌倉三代記」

歌舞伎の付き人は女性でもなれる?


引用元:Pinterest

歌舞伎の付き人は女性でもなれます。実際付き人の8割は女性とも言われ、歌舞伎の付き人は女性の方が一般的です。

芸事の付き人は、師匠の身の回りの世話や生活を一緒にする事で、師匠の芸事を盗むイメージがあります。

そのため歌舞伎の付き人も、「いずれは立派な歌舞伎役者になりたい男性しかなれないのでは」と考えがちです。

歌舞伎においては、修行として師匠につくのは「お弟子さん」です。付き人という下積みを経て歌舞伎役者になれるのではなく、付き人は独立した一つの職種になります。

歌舞伎に関われる女性の仕事とは


引用元:Pinterest

歌舞伎役者以外は、歌舞伎に関わるほとんどの仕事で女性は働く事が可能です。舞台に立つ事はできませんが、女性でも裏方として歌舞伎の世界を支える事はできます。

これからあげるすべての業種でも実際に女性は働いています。裏方の働きがなければ、舞台を成り立たせる事はできません。

表立って見えなくても、歌舞伎という文化を継承し、次の世代につなげる役割を担っています。

大道具

舞台全体の美術装飾を製作する仕事。舞台美術家の製図を元に製作、稽古が始まって舞台美術家のチェックで調整し完成させる。

小道具

傘・刀・履物など歌舞伎の演目で使用する小道具の製作や貸出を行う仕事。歌舞伎で扱う小道具は、種類が多い上に歴史などを深く理解をしていないと使えないものもあるため、幅広い専門知識が必要となる。

衣裳

担当する役者の衣装を決定し、舞台当日は着付けのサポートをする仕事。舞台が終わった後は、衣装の保管までを担当する。

床山(鬘屋)

かつら師が作ったかつらの散バラ髪を結いあげ、飾りつけなどを施す仕事。舞台当日のかつらの付け外しや、手入れなども行う。

歌舞伎女子の観劇マナーとは?

Q:歌舞伎を観る時の
女性の服装は?
A :基本的にドレスコードはなく、デニムをはくのもOKです。
観劇時間が4時間程度と長丁場のため、リラックスできる服装を選びましょう。
Q:歌舞伎の掛け声は
女性でもしていい?
A :女性の掛け声は禁止ではありませんが、
歌舞伎役者と大向うさんの男性だけの声の中、悪目立ちしてしまうため、
控えた方がベターです。
Q:歌舞伎を観ながら
飲食してもいい?
A :お菓子も含め観劇中の飲食は控えましょう。
幕間であれば、座席で食べても大丈夫ですが、
においには配慮して食事を楽しみましょう。

まとめ

女性役者が禁止の理由 江戸幕府が女性歌舞伎に禁令を出したため
女の子が出られる年齢 女の子が初潮をむかえるまで
歌舞伎に関わる女性の仕事 付き人を始め、裏方であればほとんどの仕事はOK

歌舞伎の舞台に女性が立てない理由について、わかっていただけましたか。

男性が女役を演じるのは歌舞伎の特徴の一つですが、禁止された中で、役者が女性以上に魅力的な女性になろうとした試行錯誤の結果、女形のこの世に存在しない幻のような美しさの女性が、生まれたのでしょう。

歌舞伎と同じく女人禁制イメージのある能ですが、能は戦後に「女性能楽師」を認めています。

歌舞伎も同様にいつか、女性が舞台に立てる日が来るのかもしれません。いつか女性が演じる、女性役を見てみたいですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました