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たらちねの落語のあらすじ&オチは?動画まとめ

落語

落語たらちねのあらすじ&オチ

落語「たらちね」は落語通でしたらご存知の方も多い演目でしょう。

東京の寄席では前座の方がよくかける演目です。

大阪・上方落語では「延陽伯(えんようはく)」と演目名が変わります。

今回は落語「たらちね」のあらすじ・オチ・教訓・名人などについて解説します。

江戸時代は方言以外にも身分や職業によって話す言葉が違っていたようですね。

では、さっそく見ていきましょう。

「たらちね」の落語とはどんな内容の演目?

落語「たらちね」の主人公は、やもめ暮らし(独身)の八五郎です。

その八五郎に長屋の大家さんから縁談が舞い込みます。

しかし大家さんが言うのには、その縁談の相手は厳格な漢学者の父に育てられた女性で、言葉使いが丁寧すぎて何を話してうるのか分からない、とのこと。

八五郎は「言葉使いが悪いというなら問題ですが言葉使いが丁寧なら問題ないですよ」と縁談を快諾します。

ところが花嫁が家にやってくるとあまりに難しい言葉使いで名前を聞くのも一苦労。

さてさて言葉が通じない二人はうまくいくのでしょうか?

落語の「たらちね」のあらすじ

ある長屋に住む、やもめ暮らし(独身)の八五郎(はちごろう)。

大家さんから呼び出されたので「たまっている家賃の催促か?」とビクビクしながら大家の家に行くと想像もしていなかった縁談を薦められます。

しかも縁談相手の娘というのが、年齢は二十歳で器量よし(美人)です。

おまけに「夏冬のもの(季節の衣類・生活道具などすべて持参」という好条件。

断る理由が一つもない八五郎にとっては願ってもない縁談なのですが、どうも話がおいしすぎます。

不審に思った八五郎は大家さんに問いただしてみると、そのお嬢さんにはたった一つだけ「疵(きず)」があると言うのです。

その疵(きず)というのは、厳格な漢学者の父親に育てられたせいで「言葉使いが丁寧すぎてなにを話しているのかわからない」というもの。

大家も先日、道で彼女に出会った時に「今朝(こんちょう)は土風(どふう)激(はげ)しゅうして小砂眼入(しょうしゃがんにゅう)し歩行為り難し」と挨拶されて困惑したとのこと。

とっさのことで意味も分からず困惑した大家さん、そばの道具屋の店先に箪笥(たんす)と屏風(びょうぶ)があったので「スタンブビョウでございます」と答えてその場をなんとかごまかしたという。(タンスとビョウブをひっくり返しただけなにで、もちろん意味はありません。)

大家さんの話に大笑いした八五郎。

「言葉使いが悪いなら問題ですが、言葉使いが丁寧なら門題はありません」と喜んで縁談を快諾します。

とんとん拍子に話が進み、その日のうちに祝言をすることになり、八五郎は床屋と銭湯に行き身支度を整えて花嫁を待ちます。

夕方に大家と花嫁がやってきたのですが、美人の花嫁に八五郎は大喜びします。

大家さんは祝言を済ますとさっさと帰ってしまいます。

二人きりになった八五郎と花嫁。

花嫁が「賤妾(せんしょう)浅短(せんだん)によって是れ学ばざれば勤(きん)たらんと欲す」と丁寧に挨拶をしたのですが八五郎にはさっぱり分かりません。(…誰でも分かりませんよね)

「なになに、「金太郎を干す」だって?」とびっくりした八五郎。

ビックリ仰天しながらも花嫁の名前を聞いてみます。

すると花嫁は、「自らことの姓名は父はもと京都の産にして姓は安藤、名は慶三。字を五光と申せしが、我が母三十三の折、或る夜丹頂を夢見て妾を孕めるがゆえ、垂乳根の胎内を出し時は鶴女、鶴女と申せしが、それは幼名。成長ののちこれを改め、清女と申しはべるなり。」

八五郎は名前をを聞いただけなのですが、両親のことや自らの誕生秘話、幼名と改名に至るまでをすべて漢文調でスラスラと並び立てられて、八五郎はますますわけが分からなくなってしまいました。

仕方がないので紙に書いてもらいましたが、あまりの長さに八五郎は閉口します。

翌朝、妻の清女(きよじょ)は夫の八五郎よりも早く起き出して朝食の準備を始めます。

ところが、お米がどこにあるのかわかりません。

「アァラ、わが君、アァラわが君」と呼び掛けて八五郎を起こします。

はじめは清女がなにを言っているかわからなかったのですが、尋ねているものが米だとわかり米びつの場所を教えます。

お米の場所を一つ教えるのに一苦労です。

八五郎はまだ眠たいのでもう一度寝てしまいます。

その後、清女は味噌汁を作ろうとしたのですが具材がなくて困ってしまします。

ちょうどそこへ長屋の路地に八百屋が行商にやってきます。

「これこれ、門前に市をなす商人、一文字草を朝げのため買い求めるゆえ、門の敷居に控えておれ」

初対面の女性の難しい言葉使いに圧倒された朝商いの八百屋さん、思わず「はぁはぁー!」と平伏してしまいます。

なんとか朝ご飯の用意もでき、清女は夫の八五郎を起こします。

「アァラわが君。日も東天に出御(しゅつぎょ)ましまさば、うがい手水に身を清め、神前仏前へ燈灯(みあかし)を備え、ご飯も冷や飯に相成り候へば、早く召し上がって然るべう存じたてまつる、恐惶謹言(きょうこうきんげん)」。

すると今度は八五郎が、「飯を食うのが「恐惶謹言」かい、じゃあ酒なら「依って(=酔って)件の如し」か?」

「たらちね」の落語のオチ・サゲ【ネタバレ】

落語「たらちね」のオチ・サゲは「飯を食うのが恐惶謹言(きょうこうきんげん)、酒なら依って(=酔って)件(くだん)の如(ごと)し」です。

「恐惶謹言」も「依って件の如し」も現在ではほぼ使うことはない言葉でしょうね。

意味が分からないという人も多いと思います。

落語には現在では意味が分かりにくい表現でも、昔から伝わるオチをそのまま使うことが多いです。

上方落語の七代目笑福亭松喬(しょきょう)は「たらちね(延陽伯)」のオチを現代人が聞いても分かるように変えています

【七代目笑福亭松喬の延陽伯のオチ】                                早朝から朝ご飯の事で何度も起こされた喜六が、難しい言葉使いの花嫁(延陽伯)に言います。  「あんたも朝からよくそれだけ難しい言葉が次から次とでてきますなあ」。                 すると花嫁(延陽伯)が、「朝飯前(あさめしまえ)なりや~」。
  • 「恐惶謹言(きょうこうきんげん)」とは、近代以前の日本の文書や手紙の末尾につける挨拶語(書止)意味は「恐れかしこみ、謹んで申し上げる」。
  • 「依って件の如し(よってくだんのごとし)」とは、恐惶謹言(きょうこうきんげん)と同じく書止。証文などの末尾に書く言葉で、「以上、右(本文)に書いたとおりである」という意味です。

「たらちね」の落語の意味・教訓を解説

落語「たらちね」の教訓は「釣り合わぬは不縁のもと」ということでしょうか。

釣り合わぬは不縁のもとは「家柄や財産などが違い過ぎる者同士の結婚は、結局はうまくいかない」という意味ですね。

一概には言えませんが共通項の少ない者同士の結婚生活は前途多難なパターンが多いと聞きます。

今後、八五郎と清女がどのような家庭を築くかは分かりませんが「釣り合わぬは不縁のもと」という慣用句に負けないように幸せな家庭を築いて欲しいものです。

「たらちね」の落語の名人!十八番なのは誰?【動画あり】

それでは落語「たらちね」の名人を紹介します。

三代目三遊亭金馬の「たらちね」

三代目三遊亭金馬の「たらちね」はとても聞き取りやすいです。

ラジオでも非常に売れた人気の噺家だったようで、現代の人間が聞いても十分笑えます。

立川談志の「たらちね」

立川談志の「たらちね」です。談志家元は可愛らしい女房に定評があります。

桂枝雀の「たらちね(延陽伯)」

桂枝雀の「たらちね(延陽伯)」です。爆笑の「たらちね(延陽伯)」です。

笑福亭仁鶴の「たらちね(延陽伯)」

笑福亭仁鶴の「たらちね(延陽伯」です。こちらも爆笑の「たらちね(延陽伯)」です。

笑福亭仁鶴と桂枝雀は昭和平成の上方落語を牽引しました。

【動画】落語の「たらちね」!おすすめの名演を紹介

江戸の金馬や談志、上方の枝雀や仁鶴以外にも落語「たらちね(延陽伯)」の名人や名演は存在します。

引き続き見てみましょう。

五代目三遊亭円楽の落語「たらちね」

五代目三遊亭円楽の落語「たらちね」です。笑点の司会でお馴染みの噺家でした。

六代目三遊亭円楽(前名・楽太郎)の師匠ですね。

柳家喬太郎の落語「たらちね」

柳家喬太郎の落語「たらちね」です。

古典落語・新作落語の両刀使いの現代の名人です。

綾瀬はるか たらちね 落語

「笑点」に出演し落語「たらちね」を披露した女優の綾瀬はるかです。

落語を聞いたお客の評判も良く笑いも多かったようです。

笑顔の素敵な女性なので見ているだけで人を幸せな気持ちにしてくれます。

「たらちね」の落語の台本!内容をテキストで解説

落語「たらちね」の解説動画です。

聴覚だけでなく視覚でも楽しめますよ。

「自らことの姓名は父はもと京都の産にして姓は安藤、名は慶三。字を五光と申せしが、我が母三十三の折、或る夜丹頂を夢見て妾を孕めるがゆえ、垂乳根の胎内を出し時は鶴女、鶴女と申せしが、それは幼名。成長ののちこれを改め、清女と申しはべるなり。」

まとめ

今回は落語「たらちね」のあらすじ・オチ・教訓・名人などについて解説しました。

落語「たらちね」は難しい言葉使いがトラブルを巻き起こす分かりやすい滑稽噺です。

現代では国際結婚のご夫婦などは似たような経験をされている方もいるかもしれませんね。

落語初心者の方におススメの落語です。

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