落語に興味を持った時、最初に見ておきたいのは、名作といわれる古典落語です。
古典落語の名作はいわば、落語の基本。
古典落語の名作を押さえておけば知識が広がり、これから落語を見る時にわかりやすくなりますよ。
そこで今回は、おすすめの古典落語の8名作をご紹介します。
など、名作と言われる理由について考えながら、古典落語の魅力に触れて行きましょう。
古典落語の名作おすすめランキングTOP3【動画&あらすじ紹介】
第1位:芝浜
お酒の失敗で、家業の魚屋が上手くいかずお金のない勝。
魚の仕入れのため、早朝の魚市場に行ったところ大金の入った財布を見つける。
財布を自分のものにして家に持ち帰り、大酒を飲んだ。
飲んだ翌日に目が覚めて、財布を探したところ女房に財布を拾ったのは夢だと言われてしまう。
自分の行いを恥じ反省した勝は、それから3年間酒を断ち懸命に働いたところ、お店を構えるまでに成長した。
お店を構えた年の大晦日の晩に、女房に財布を拾ったのは現実だったと告げられる。
現代でも夢オチの例えとして有名な、夫婦愛を描いた「芝浜」。
神が降りたと言われた、立川談志の芝浜は必聴です。
第2位:寿限無
熊さん夫婦に男の子が生まれ、長生きできる縁起のいい名前にしたいためお寺の和尚さんに相談に行く。
和尚さんは仏教の経典などから、良い名前をピックアップし、その都度紙に書き留めた。
その紙を熊さんに渡し、この中から気に入った名前を選ぶように言う。
和尚さんの名前候補の中から、1つを選べない熊さん。
ついには、紙に書かれている名前をすべて息子につけた。
息子の名前は呼び合うだけで、出来た「こぶ」が引っ込んでしまうほどの長さでした。
落語家がスラスラと語る、長い長い名前が聴きどころ。
何度も聴いた噺でも必ず笑える、名人立川談志の「寿限無」がおすすめです。
第3位:時そば
勘定を数えている最中の蕎麦屋の店主に、別の話題を振る事で勘定を安くさせるごまかしを見た男。
ごまかし方法に感心をし、別の蕎麦屋で同じごまかしを試してみる。
結局失敗し、多く勘定を払うはめになってしまった滑稽話。
特に古今亭志ん朝の「時そば」は格別。
聴いた後はそばが食べたくなるほど、リアルな情景が浮かびます。
古典落語のおすすめ名作一覧
TOP3以外でも古典落語の中には、まだまだおすすめの名作があります。
これから見ておきたい5演目をご紹介します。
名人と言われる落語家の落語を聴いてみたい方は、古今亭志ん朝の「火焔太鼓」、桂米朝の「らくだ」、桂枝雀の「饅頭こわい」。
長い時間落語を聴く自信のない方は、短い噺の「目黒のさんま」、落語の怪談噺に興味がある方は、「死神」を是非聴いてみてください。
落語家古今亭志ん朝の名作
火焔太鼓
古道具屋の甚兵衛は、商い下手のためお金にならないものばかりを仕入れていた。
ある日甚兵衛は、古い太鼓を仕入れる。
毎度毎度仕入れのセンスのない甚兵衛に、周りはあきれていた。
古い太鼓を鳴らしていたところを、殿様が聞きつけ気に入り、なんと300両もの大金で売れた。
今度も楽器(半鐘)を買いなという女房に返した、甚兵衛の最後のセリフがオチです。
人情噺と言えば、古今亭志ん朝。
名人のストーリーテリングの素晴らしさを聴いてください。
落語の名作!桂米朝
らくだ
半次は、体が大きく「らくだ」と長屋で言われる男の家を訪ねる。
らくだは亡くなっており、半次はらくだの葬儀をしたいがお金がない。
らくだの家を訪ねてきた屑屋の久六をおどし、長屋の住人から香典を、大家からはお通夜のお料理とお酒を持ってくるように命令。
半次に従っていた久六は、お酒を飲んで態度が急変、半次と久六の立場は逆転する。
らくだを樽の中に入れ火葬場へ運ぶが、火葬場に着くとらくだがいない。
樽の底が抜けており、道中のどこかでらくだを落としてしまったようだ。
らくだを見つけに戻ったところ、眠っている願人坊主をらくだと見誤り、樽に入れ火葬場の火の中へ放り込んでしまう。
「らくだ」は人物表現の使い分けや、落語家の演技力も試される真打の大ネタ。
品があると言われる、桂米朝の上方落語で味わってみてください。
落語家桂枝雀の名作
饅頭こわい
町内で時間を持て余した若い男性が集まり、嫌いなものや怖いものについて話合っていた。
「怖いものなどない」と言っていた男が、みんなに「本当にないのか」と聞かれたところ、「本当は饅頭がこわい」と言う。
男は饅頭の話題をするだけで気分が悪くなったと言い、別の部屋で寝てしまう。
残った男たちは、饅頭攻めにしてやろうと画策。
饅頭を買い、どんどん男の部屋に投げ込む。
目覚めた男は、「こんな怖いものは食べて失くしてしまおう」と、投げた饅頭を全部食べてしまう。
男に騙されたと気づいた男たちが、もう一度最後に男に本当に怖いものについて訪ねます。
男の最後のセリフがオチです。
爆笑王と言われる桂枝雀の、とにかく笑える滑稽噺を聴いてみてください。
落語の名作で短い噺
目黒のさんま
殿様が目黒まで遠乗りに出かけた際に、弁当を忘れてしまった。
お腹をすかせているところに、焼いたさんまの匂いが漂う。
当時さんまは下衆魚と言われ、殿様が食べる魚ではなかった。
それでもどうしてもさんまを食べてみたくなった殿様は、さんまを取り寄せ食べたところ気に入り、大好物となった。
それから行われた好きなものが食べられる会で、殿様はさんまを希望。
殿様に食べさせるため、さんまから体に悪いとされる脂と骨を抜き不味い状態で出された。
不味いさんまの産地を聞く殿様。
日本橋魚海岸だと聞いた後の殿様のセリフがオチです。
焼いたままの無作法なさんま食べると美味しいが、手を加えてしまうと不味くなってしまうという滑稽噺。
三遊亭金馬が得意とした演目です。
怪談噺の落語名作
死神
お金がなく死んでしまおうと思っている男の前に、死神が現れる。
「どうせ死ぬのなら医者をやらないか」といわれる。
死神は寿命の人間の枕元に座り、寿命のある人間の足元に座るという。
足元の場合は、呪文を唱えれば死神はいなくなり病気は治るが、枕元の場合は寿命のため治せないという。
医者を始め評判となった男は、死神が枕元に座る寿命の患者の家族にどうしても治してほしいとお願いされる。
大金を積まれ受ける事を決めた男は、患者の寝る向きを変え足元に死神が来るようにし、呪文を唱え死神を消してしまった。
亡くなるはずの患者の運命を勝手に変えてしまった男。
落語家によって、ハッピーエンドから残酷なバッドエンドまでバリエーションがある結末が魅力。
三遊亭圓生の「死神」は、誰よりも怖いと評判です。
まとめ
落語家古今亭志ん朝の名作は? | 火焔太鼓 |
---|---|
落語の名作で短い噺は? | 目黒のさんま |
怪談噺の落語名作は? | 死神 |
古典落語の名作はいかがでしたか?
笑える滑稽噺のイメージが強い落語ですが、今回の火焔太鼓や死神のような、ストーリー性が高い人情噺や恋愛噺もあります。
ドラマのように視覚的に見えなくても、落語家の話術だけで映像が想像できる。
落語で聴くドラマも面白いですよ。
これから、いろいろなジャンルの落語を楽しんでくださいね。
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