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俳句の切れ字一覧|使い方・意味&覚え方まとめ【や・よ・ぞ・なり】

俳句

俳句の切れ字は、詠嘆や余韻をもたらす効果があり、俳句らしい響きを句に与えます。

切れ字を使って俳句を作りたいと思ったときに、どのようなものがあるのか、ルールはあるのか気になったことはありませんか?

切れ字は数多くあり、覚えるだけでも大変なのに、ルールまで覚えられない!

そんなあなたでも、この記事を読むと俳句の切れ字の使い方や意味、覚え方が理解でき、俳句をより楽しめるようになります。

今回は、このようなことについて詳しく解説します。

切れ字で困っていたら、ぜひご覧くださいね。

俳句の切れ字とは?簡単に解説

俳句の切れ字は、句の中に切れを生み、余韻を与える言葉のことです。

切れ字を用いて強く言い切ることにより、読者に余韻を与え、俳句の世界に引き込む効果が生まれます。

俳句の中でよく見られる切れ字は、「や」「よ」「ぞ」「なり」「かな」「をり」などです。

俳句の切れ字の一覧!種類別の意味&効果

俳句の切れ字の中でも特に使われる「切れ字十八字」を一覧にしました。

動詞の命令形語尾「せ」「れ」「へ」「け」
形容詞語尾「し」
副詞「いかに」「に」
助動詞と終助詞「かな」「もがな」「じ」

「や」「らむ」「か」

「けり」「よ」「ぞ」

「つ」「ず」「ぬ」

切れ字はとても多く、すべてを覚えるのはとても大変です。

今回は、特によく使われるものを紹介します。

一覧にないものもありますが、これらの意味と効果を理解するだけでも、俳句がより楽しめますよ。

切れ字「や」

「や」は作者が深く感動したり呼びかけたりする時に使い、上の句に用いられることが多い切れ字です。

切れ字「よ」

「よ」は終助詞(文の終わりに用いる助動詞)の場合は呼びかけの切れ字ですが、大抵は「〜だなぁ」と、詠嘆の意味で使用します。

切れ字「ぞ」

「ぞ」は、疑問を表したり強く断定したりする切れ字です。

疑問を表したいときは終助詞として、断定するときは中の句に使う傾向があります。

切れ字「なり」

「なり」は、「〜だ・〜である」という、強い断定の意味がある切れ字です。

主に中の句で使われます。

切れ字「かな」

「かな」は詠嘆・感動を表す切れ字で、終助詞として文章の終わりに使用します。

この切れ字は特に大きな余韻を生むため、後に言葉を繋げることは基本的にできません。

使用するときは注意しましょう。

切れ字「をり」

「をり」は「〜している」というような今も続いていることを説明したいときに使用する切れ字です。

他の切れ字のような強さはなく、持続的な印象を与える効果があります。

俳句の切れ字の使い方

俳句の切れ字は、余韻や感動を与えたい、強調をしたい場合に使うといいでしょう。

また、切れ字は文章でいう読点「。」の役割を持つと覚えておくと理解しやすくなります。

たとえば、詠嘆の「や」は上の句で季語と合わせて使うことで、季語が強調されて俳句の中で引き立ちます。

対して、句を詠み終えて余韻を残したいときは、「けり」や「かな」を句の終わりに用いると効果的です。

俳句の切れ字の覚え方は?

代表的な「切れ字十八字」の暗記方法は3つあります。

覚えるのは大変ですが、自分のやりやすいもので習得してみてくださいね。

1.語呂合わせで覚える

切れ字の中で、動詞の命令形語尾はすべて「え段」です。

そのため、「『せ』『れ』 『へ』 『け』は命令形」というように覚えられます。

2.「大きな栗の木の下で」のリズムで覚える

「大きな栗の木の下で」のリズムで、切れ字十八字を覚える方法があります。

馴染みのある童謡なので、一度暗記したら、歌いながらすぐに切れ字が出てくるようになりますよ。

せー れー へー けー しー にー

(おお きな くり の きの した で)

かーな もーがな ぞ かー やー よー

(あーな たー とー わー たー しー)

けーりー ずーじー ぬーつ らむ

(なーかー よーくー あそび ましょ)

3.紙に書いて何度も読んで暗記する

一番シンプルな方法ですが、手と口を動かして覚えるのは確実な方法です。

このように紙に書くと、覚えやすくなります。

命令形「せ」「れ」「へ」「け」
形容詞「し」
副詞「に」
助動詞と終助詞「かな」「もがな」「じ」

「や」「らむ」「か」

「けり」「よ」「ぞ」

「つ」「ず」「ぬ」

切れ字を使った俳句の例を紹介

切れ字を使った句は数多く存在しますが、その中から有名な句を3つ紹介します。

奥の細道で切れ字を使った俳句は?

夏草や 兵どもが 夢の跡 (松尾芭蕉)
引用元 : 松尾芭蕉-Wikipedia

夏草ばかりが生い茂るこの地も、かつては武士達が命を賭けて戦った場所である。今はもう、夢のような話になってしまったなあ。

この地で散っていった兵たちに思いを馳せ詠んだ、芭蕉の想いも伝わってくるようですね。

奥の細道では他にも数多くの切れ字を使った俳句があります。

奥の細道について深く知りたい方はこちらもご覧ください。

⇒松尾芭蕉の俳句|有名な代表作一覧ベスト10&奥の細道とは?

「春風や」で始まる切れ字を使った俳句は?

春風や 闘志いだきて 丘に立つ (高浜虚子)
引用元 : 高浜虚子-Wikipedia

暖かい春風が吹いている。そんな日に私は強い意思を胸に抱きながら丘に立つ。

春風は春の初めから終わりまで使える季語で、暖かく穏やかな風のことを言います。

新たなことを始めるにふさわしい時期に、虚子も新たな決意をしたのでしょうか。

イメージが膨らみます。

夏の俳句で切れ字を使った句は?

涼しさを 風鈴一つ そよぎけり (正岡子規)

風鈴の短冊が風に揺れ、立てた音色に涼しさを感じる。

この場合の「けり」は、過去の感動の終助詞として使われているので、短冊がそよぎ、音が鳴ったのが過去であることがわかります。

17音の中に、夏の暑さと風鈴の涼やかさが伝わりますね。

中学生が覚えておくべき俳句の切れ字は?

中学生がまず覚えておくべき俳句の切れ字は、「や」「かな」「けり」です。

この3つは俳句でも非常に多く使われているので、教科書にもよく登場します。

できれば切れ字十八字は覚えたいものですが、大変なので、最低でもこの3つは覚えましょう。

切れ字を使った俳句|中学生向けの例

中学生が覚えておくべき「や」「かな」「けり」を使った俳句をピックアップしました。

切れ字は、その句が切れる場所である「句切れ」に多く使われています。

そのことを意識して読んでみると、覚えやすくなりますよ。

おらが世や そこらの草も 餅になる (小林一茶)
引用元 : 小林一茶-Wikipedia

「おらが世」は「私の世」、つまり、一茶が今ここにいる現状のことを指しています。

春になり、そこら辺に生えている草を取って草餅にして食べ、ありがたみを感じている一茶の様子が伝わりますね。

山は暮れて 野は黄昏の 薄(すすき)かな (与謝蕪村)

山々はくれてしまったが、まだ、近くには黄昏時の明るさが残っている。すすきが風に揺れているなぁ。

写真でも見ているかのような蕪村の描写が素晴らしい一句です。

神田川 祭の中を ながれけり (久保田万太郎)
引用元 : 久保田万太郎-Wikipedia

神田川が、神田祭の最中の街中を流れているなあ。

お祭りの中を、神田川は変わらず流れているのが伝わり、賑やかさが伝わって楽しくなってくる句ですね。

俳句に切れ字は必要?句切れなしの効果も

俳句に切れ字は必ず必要ではありません。

しかし、現代でも俳句には切れ字がよく使われます。

その理由は主に3つです。

  • 昔から使われている
  • 古風な響きが俳句らしい
  • 切れ字を使うと、詠嘆や余韻など豊かな心情描写ができるから

ただし、切れ字には「1つの俳句に1つの切れ字」という決まりごとがあるので、使う際には気をつけましょう。

また、切れ字は基本として句の意味が切れる場所に使いますが、切れ字を使っても句が切れない場合もあります。

とつぷりと 後ろ暮れゐし 焚火かな (松本たかし)

とっぷりと日が暮れていたのも気づかないほどに、焚火に魅入っていたのだなぁ。

日が暮れた後に焚火を見つめている様子が伝わりますね。

この句は、「。」で区切る部分がない、つまり句切れなしの俳句になります。

現代俳句での切れ字の考え方とは

現代の俳句では、主に「や」「かな」「けり」の3つの切れ字が用いられます。

昔からよく使われていたこと、この3つの切れ字を使うことによって、俳句らしい雰囲気を出せること。

これらの理由から、現代ではわかりやすいこの切れ字を使うようになったのかもしれません。

まとめ

切れ字は、強く言い切ることで俳句に切れを生み、感動や余韻を読んだ人に与える効果があります。

基本的に、文章で言う読点「。」が入るところに切れ字があると覚えておくと見つけやすいでしょう。

現代俳句で主に使われる切れ字は「や」「かな」「けり」。

「や」は主に上の句に、「かな」「けり」は下の句によく使われます。

切れ字は俳句らしい雰囲気をもたらす効果もあるので、ぜひ、俳句を詠むときに使ってみてくださいね。

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