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ホトトギスの俳句で有名な句一覧|武将は誰?面白い句や季語の意味も

俳句

ホトトギスの俳句で有名な武将

ホトトギスの俳句といわれて、思い浮かぶのが「鳴かぬなら」で始まる句。この句にはどのようなものがあるのか、また、誰が詠んだのか気になりますよね。

さらに、新緑の爽やかな季節に美しく軽やかな声で鳴くホトトギスには、他にも数多くの句が存在します。

奥が深いホトトギスの俳句を、あなたも触れてみませんか?

今回は、ホトトギスの俳句で有名な句と、「鳴かぬなら」で始まる句について紹介します。

この記事を読むと、ホトトギスの俳句や季語について深く理解できますよ。

ホトトギスを使った俳句一覧|有名なのは?

ホトトギスを句題にした俳句は数多くあり、著名な俳人達もこぞって詠んでいます。

飛ぶ姿や声に着目し、清々しい気分になるものが多いのも特徴です。

こちらで10句挙げましたので、ぜひ、ホトトギスの声を思い浮かべながらご覧ください。

目には青葉 山ほととぎす 初鰹 (山口素堂)

目に飛び込んでくる新緑の「青葉」、山で美しい声で鳴く「ホトトギス」、そして、美味しい「初鰹」。

初夏の訪れを待ち望んでいたのが伝わります。

木隠れて 茶摘みも聞くや ほととぎす (松尾芭蕉)

茶畑の木々に見え隠れする茶摘み女達も、このホトトギスの声を聞いていることだろう。

初夏(5月上旬)といえば茶摘みの季節です。

芭蕉は茶摘み女の様子を見ながら、この句を詠んだのかもしれません。

うす墨を 流した空や 時鳥 (小林一茶)

晴れやかな空に薄墨を流したように、ホトトギスが横切っていった。

ホトトギスの身体の色は薄い灰色。

澄みきった青空を飛ぶホトトギスが、一茶にはうす墨を流したように見えたのでしょうね。

ほととぎす 平安城を 筋かいに (与謝蕪村)

碁盤の目のような京都・平安城(平安京)の上空を、筋かいのように飛んでいった。

 筋かいとは、建物の柱と柱の間に対角線上に入れる補強材のことです。

ホトトギスの飛ぶ様を見立てることで、様子がより一層浮かび上がります。

ほととぎす かならず来鳴く 午後三時 (高浜虚子)

ホトトギスが、必ず午後三時に飛んできて鳴いている。

時間どおりに現れて鳴くと詠んだのは、「時鳥」にかけているのでしょうか。

谺(こだま)して 山ほととぎす ほしいまま (杉田久女)

山に声をこだまさせながら、ホトトギスが思うがまま鳴いている。

昭和初期に活躍した、日本を代表する女性俳人、杉田久女の作品です。

ホトトギスの軽やかさと同時に、ピンと張り詰めた空気も感じます。

ほととぎす すでに遺児めく 二人子よ (石田波郷)

ホトトギスは「しでの田おさ」という異名もありますが、この「しで」が「死出」の方に連想がいき、冥土に通う鳥のイメージも定着しています。

その理由は、夜にも鳴く、姿を見せずに鳴く鳥であることから。

この句は、そこから連想されたもののようですね。

ほととぎす 牡丹の数を 口早に (中村草田男)

ホトトギスが、牡丹の数を口早に数えているよ。

ホトトギスの軽やかな鳴き声を、上手く表現している句です。

ほととぎす 金色発す 夕富士に (中村汀女)

夕日が沈んでいく際の光り輝く富士山と、美しい声で鳴くホトトギス。

幻想的なイメージが浮かびますね。

汽罐車の 胴体濡れて ほととぎす (加藤楸邨)

汽罐車は蒸気機関車のことで、かつて、動力として使用していた粉炭などが多い石炭は、濡れている状態の方が燃焼効率が上がります。

そのため、石炭を積んでいた胴体に水を撒き、わざと濡らしていました。

そこに現れたホトトギスに、さまざまな想像が湧き上がる句です。

ホトトギスの俳句は誰?武将が作者の句【鳴かぬなら】


引用元 : ホトトギス – Wikipedia

「鳴かぬなら」で始まるホトトギスの句は、豊臣秀吉、徳川家康、織田信長、明智光秀が語ったとされています。

しかし、秀吉、家康、信長の3句については、1784(天明4)年〜1814(文化11)年に発行された「耳嚢」で発表された川柳という説が有力です。

この句を詠んだ人物に関しては、はっきりとわかっていません。

また、明智光秀の句に関しては、出典および作者は不明です。

これらの句は4武将の個性をよく表しているので、それぞれを比べてみましょう。

豊臣秀吉


引用元 : 豊臣秀吉 – Wikipedia

鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス

豊臣秀吉は天性の人たらしそして、とても計算高い人物だったと史実では記されています。

この句にも、鳴かないのなら(私の知恵と工夫で)鳴かせてみようという思いが伝わり、秀吉のらしさが表れていますね。

徳川家康


引用元 : 徳川家康 – Wikipedia

鳴かぬなら 鳴くまでまとう ホトトギス

ホトトギスが鳴かないのなら、鳴くまでじっと待つ。

人質として幼少期を送り、天下統一までもじっと耐えた家康を上手くたとえています。

織田信長


引用元 : 織田信長 – Wikipedia

鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス

織田信長は非常に短気で、「大うつけ」として知られています。

残忍なように思われますが、戦国時代では「必要のないものは切る」という精神も必要だったのかもしれません。

明智光秀


引用元 : 明智光秀 – Wikipedia

鳴かぬなら 放してしまえ ホトトギス
鳴かぬなら 私が泣こう ホトトギス

明智光秀は謎の多い人物で、「冷酷かつ残忍な性格」「徹底的な合理主義者」とも伝えられています。

しかし、この句を詠んだ限りでは非常に人情深い、思いやりのある人物のように感じられますね。

ホトトギスの俳句で面白い句を紹介


引用元 : ホトトギスのこと – 日本野鳥の会東京

ホトトギスの俳句の中で、面白い、個性的なものを集めました。

「鳴かぬなら」のフレーズを使ったもの、習性や特徴を表現したものなど、実に個性豊かです。

興味深いものばかりですので、ぜひお楽しみください。

鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス (松下幸之助)

ホトトギスが鳴かないのなら、それもいいじゃないか。

日本の大実業家、松下幸之助氏が詠んだ句です。

ありのままに世の中をすべて受け入れていこうとする姿勢が、成功を収めた要因の一つなのかもしれません。

ほととぎす 嘘つきだけは やめません (わたなべじゅんこ)

ホトトギスは、ウグイスなどの巣に卵を産んで育ててもらうという習性があります。

それが、詐欺師や嘘つきのようなイメージを生み出しているようですね。

ほととぎす 真似てもつるる 舌の先 (長谷川千枝子)

とても綺麗に鳴くホトトギスの声を真似しようとしても、舌が上手く回らない。

微笑ましい様子が伝わります。

どちらかと言へばドイツ語 ほととぎす (細野恵久)

ホトトギスの鳴き声は、「特許許可局」「テッペンカケタカ」などと表現されます。

しかし、細野恵久にはドイツ語のように聞こえたみたいですね。

ほととぎす 踊りはじめし 茹玉子 (宮川みね子)

おそらく、ゆで卵を作ろうとしているのでしょう。

ホトトギスの声が聞こえたと同時に、鍋の中で揺れ始めたゆで卵の様子が目に浮かびます。

ホトトギスの俳句の季語は何月&どんな意味?

ホトトギスは初夏の季語で、現在の暦では5月上旬から6月上旬にあたります。

ホトトギスの声が農耕の合図であったことから、田植えの時期を知らせる鳥=「時鳥」と名付けられたと言われています。

特徴のあるさえずりは、春を告げるウグイスと同様に、夏の到来を知らせてくれる意味合いがあるのですね。

時鳥と杜鵑草(花)は違うもの?

時鳥と杜鵑草(花)は違うものです。

一覧にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

時鳥
  • 姿形がカッコウにそっくりな、
    夏の初めに姿を現す渡り鳥
  • 季語は夏(初夏)
  • 「時鳥」「杜鵑」「不如帰」など
    さまざまな漢字で表記される
杜鵑草
  • ユリ科の多年草で本州以南の山野に生息
  • 白色の花にある斑点が、鳥のホトトギスの
    胸元の斑点に似ていることから名付けられた
  • 英語名は「Toad lily(ヒキガエルのようなユリ)」
  • 漢字では「油点草」「杜字」「油天草」
    と表記されることも
  • 開花時期は8月〜11月
  • 季語は「秋」(仲秋)

杜鵑草は、斑点に特徴のある花だとわかりますね。

花言葉の「永遠にあなたのもの」「秘めた意志」は、長い期間杜鵑草が見られることにちなんでいるといわれています。

ここでは、「杜鵑草」を詠んだ句を2つ紹介します。

鳥のホトトギスと比べてみると、また違った趣がありますよ。

紫の斑の賑しや 杜鵑草 (轡田進)

杜鵑草の特徴であるまだら模様の多さを「賑やか」と表現することで、俳句に弾みが生まれたように感じます。

水に映りて 斑をふやす 杜鵑草 (檜 紀代)

杜鵑草の花びらに雫が落ちたのでしょうか?水滴にまだら模様が映ることで数が増えたように見える様子が良く伝わります。

俳句雑誌「ホトトギス」とは?


引用元 : ホトトギス

俳句雑誌「ホトトギス」とは、俳句結社※1 の一つである、合資会社ホトトギス社が発行する日本派※2 初の俳誌(俳句の雑誌)のことです。

1897(明治30)年1月に、正岡子規の援助により柳原極堂(きょくどう)が松山で創刊。

名前の由来は、正岡子規の俳号である『子規』にちなんだもので、当時はひらがなで『ほとゝぎす』と記されていました。

翌年10月には発行所を東京に移して、高浜虚子が編集発行を担当しています。

また、正岡子規の友人でもある夏目漱石が『坊っちゃん』を発表したのもこの俳誌です。

ホトトギスは、明治時代には総合文芸雑誌として、大正・昭和時代初期には保守俳壇の最有力誌として、盛り上がりを見せました。

俳句雑誌ホトトギスは現在も発行されていて、2021年11月で創刊から125年、1,500号を迎えました。

今もなお多くの俳句ファンに支持され、最近では小学生からの投句もあります。

また、HPでは稲畑廣太郎主宰をはじめとした、ホトトギス社員の奔走の様子を発信するブログ「奔走主宰」が読めます。

※1俳句結社は「俳句の集まり」。俳句を作るために集まったグループや同人など。
※2日本派とは、新聞「日本」で活躍した、正岡子規を中心とする純客観的社会主義を先だって唱えた俳句の一流派。

ホトトギスと正岡子規の関係とは


引用元 : 正岡子規 – Wikipedia

ホトトギスと正岡子規の関係は、漢字表記とホトトギスの特徴にあります。

ホトトギスの漢字表記は「時鳥」「不如帰」「杜鵑」などさまざまですが、「子規」とも書きます。

また、ホトトギスは「鳴いて血を吐く」と表現されるように、口の中が真っ赤な鳥です。

本名の常規に「規」があることと、肺結核を患い、咳をするたびに血を吐き出す自らの姿を重ねて、正岡子規は俳号に「子規」を使いました。

まとめ

ホトトギスの俳句は、有名な「鳴かぬなら」で始まるもの以外にも、さまざまな句があります。

姿や声、習性や特徴などよく捕らえているものが多く、爽やかな季節にふさわしいもの、また、暗いイメージを持つものも。

桜のシーズンが終わり、新緑が目に眩しく映る頃に、ホトトギスの姿を探しながら句を思い浮かべてみるのはいかがでしょうか?

きっと、届く鳴き声が今までとは違ったものに聞こえますよ。

何か響くものを感じたら、あなたもぜひ、ホトトギスを句題にして詠んでみてくださいね。

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