俳句を勉強してみたいと思っても、何から学んでいけばいいのかわからないですよね。
そんな俳句初心者の方には、誰でも知っている有名な俳句から勉強していくのがおすすめです。
学校の授業などで一度は聞いた事のある句なら親しみやすく、挫折しにくいですよ。
有名な句なら知っていて損はなく、教養を深めるためだけでも詠んでみる価値ありです。
これからどれも有名な俳句ばかりをあげます。
などを知って、俳句の知識を広げていきましょう。
有名な俳句一覧【季語テーマ別】
まずは、有名な俳句を有名な季語ごとに見て行きましょう。
中秋の名月で有名な俳句
名月を 取ってくれろと 泣く子かな(小林一茶)
俳句の「名月」は、中秋の名月の事を指します。
月を取ってほしいとお願いする子供のあどけなさと、子供が欲しくなるくらい大きく美しい月を描いています。
満月で有名な俳句
菜の花や 月は東に 日は西に(与謝蕪村)
月が東の位置にあるという事は、その月は満月という事です。
菜の花の黄色、夕暮れ時の空の赤色、月の白い明るさと三色の色彩が美しい句です。
空蝉で有名な俳句
ぬけがらの 君うつせみの うつつなや(正岡子規)
空蝉(うつせみ)というのは、蝉の抜け殻の事。
蝉の抜け殻を見て、人生の儚さを読んだ句です。
蝉時雨で有名な俳句
汗を吹く 茶屋の松風 蝉時雨(正岡子規)
蝉時雨というのは、蝉がまるで降り注ぐ雨の様に、一斉に鳴く鳴き音の事。
何もしなくても汗の吹き出てしまう暑い夏の日に、蝉時雨の音を聴いてより暑さが増してしまうという句です。
紅葉で有名な俳句
うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ(良寛)
紅葉の葉が散っていく様を、人生と重ねた句です。
人生の良いところも悪いところも経験させてもらったので、もう思い残す事はなく土にかえっていくだけと詠っています。
恋で有名な俳句
死なうかと 囁かれしは 蛍の夜(鈴木真砂女) 引用元:『増殖する俳句歳時記』
「死のうか」と囁かれたのは蛍の夜だった。
死を考える程思いつめた恋による心の火を、蛍の光に例えています。
蛍で有名な俳句
蛍火の 今宵の闇の 美しき(高浜虚子)
蛍の光の明るさが、今夜の闇の美しさを引き立てているようです。
蛍の句は蛍の灯りの美しさを読んだ句が多い中、闇の美しさに焦点を当てた珍しい句です。
すすきで有名な俳句
おりとりて はらりとおもき すすきかな(飯田蛇笏)
折って取ろうとした軽いすすきにも、はらりとした重さがあった。
すすきという重さの軽そうな植物でも重さがある、命の尊さを詠んだ句です。
季節・四季別の有名な俳句まとめ
季節ごとに有名な俳句をまとめてみました。季語は何かを考えながら、見て行きましょう。
春の有名な俳句|2月・3月・4月
春の海 ひねもすのたり のたりかな(与謝蕪村)
春の穏やかな日の光を浴びた海の波が、浜辺にゆったりと寄せては返しています。
春の海辺ののどかな情景を詠った句です。
初春の俳句
初春先づ 酒に梅売 にほひかな(松尾芭蕉)
初春の季節に、梅の香りが香っている里でお酒の匂いも混じって豊かな香りがする。
香しい梅の香りとお酒の香りを感じる、嗅覚にうったえる俳句です。
夏の有名な俳句|5月・6月・7月
閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(松尾芭蕉)
静かで、岩にしみいるような蝉の声までもが静かさを際立てているようだ。
蝉の声までも飲みこんでしまうような、自然の静けさを詠んだ句です。
七夕の俳句
引用元:7月7日「七夕」。儚くもロマンチックな織姫彦星伝説の背後にある悲しい深層とは?(tenki.jpサプリ 2021年07月07日) – 日本気象協会 tenki.jp
七夕や 髪ぬれしまま 人に逢ふ(橋本多佳子) 引用元:【七夕や髪ぬれしまま人に逢ふ】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞・作者など徹底解説!!
七夕の日に、髪が濡れたままでも亡くなった思い人に会う。
七夕は彦星と織姫が一年一度会える特別な日。普段は会う事ができない人でも会えそうな七夕なら、きっと会う事ができると思う大切な人を思う恋の句です。
秋の有名な俳句|8月・9月・10月
柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺(正岡子規)
柿を食べていると、法隆寺の鐘が鳴った。
のどかな秋の情景の句の中に、柿の橙色の視覚、柿の匂いの嗅覚、鐘の音の聴覚など、五感を刺激する句です。
晩秋の俳句
秋深き 隣は何を する人ぞ(松尾芭蕉)
秋が深まってきて、隣の人は何をしているのか気になっている。
秋になって寒くなり、隣の人が気になるくらい人恋しさを感じている句です。
冬の有名な俳句|11月・12月・1月
これがまあ ついの栖か 雪五尺(小林一茶)
これが、人生の最後をむかえる終の棲家になるのか、雪が五尺(約150㎝)も積もっている家が。
「これがまあ」と言う明るい前向きさと、「雪深い家」からこれからの生活の不安の両方を感じる俳句です。
立冬の俳句
菊の香や 月夜ながらに 冬に入る(正岡子規)
菊の香りや月夜の秋の美しさを感じる夜だが、もう季節は冬に入っている。
まだまだ秋の気配を感じる、初冬の様子を詠んだ俳句です。
俳句の有名人といえば?俳人の名句一覧
松尾芭蕉や与謝蕪村など俳人には誰もが知っている有名人がいます。俳人ごとに有名な句を見て行きましょう。
松尾芭蕉
名前 | 松尾芭蕉(まつおばしょう) |
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生・没年 | 1644年~1694年(江戸時代) |
松尾芭蕉は、日本史上最高の俳諧師の一人で、旅を記した紀行文「おくのほそ道」も有名。
古池や 蛙飛びこむ 水の音
古い池に蛙が飛び込んだ音が聞こえた。鳴くものとして俳句に登場していた蛙を初めて、音としてとらえた句です。
与謝蕪村
名前 | 与謝蕪村(よさぶそん) |
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生・没年 | 1716年~1784年(江戸時代) |
与謝蕪村は俳句だけではなく、「山水図」や「十便十宜図」など絵画でも有名です。
稲妻や 浪もてゆえる 秋津島
蕪村は、稲光りが一瞬、日本列島を照らし、四方の浪が垣根を作るように静止した瞬間をとらえています。
古代では、日本の本州は秋津島と呼ばれていました。雷の稲妻が一瞬日本列島を照らした様を詠んだ句で、雷が落ちた様を宇宙から俯瞰してみたような、壮大な俳句です。
中村汀女
名前 | 中村汀女(なかむらていじょ) |
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生・没年 | 1900年~1988年(明治~昭和時代) |
中村汀女は高浜虚子に師事した女性俳人です。女性らしく優しく暖かみのある俳句が多いのが特徴です。
たんぽぽや 日はいつまでも 大空に
足元にたんぽぽが咲いており、春の日らしく空には太陽が長くとどまっている。
ポカポカしたのどかな春の日の情景を詠った俳句です。
尾崎放哉
名前 | 尾崎放哉(おざきほうさい) |
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生・没年 | 1885年~1926年(明治~大正時代) |
尾崎放哉は俳句のルールに縛られない、自由律俳句で有名です。
咳を しても 一人
咳をしても一人のため、誰も心配をしてくれず孤独を感じる。
この悲壮感が漂う句を詠んだ時の尾崎放哉は、家もなく寺の住職にもらわないと食べ物もない程なにもない状態。亡くなる数ヶ月前に、自身の孤独感を込めて詠まれました。
種田山頭火
名前 | 種田山頭火(たねださんとうか) |
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生・没年 | 1882年~1940年(明治~昭和時代) |
種田山頭火の俳句は、自由律俳句で自分の心情を詠んだ句が多いです。
分け入つても 分け入つても 青い山
道を分け入っても分け入っても、青い山が続いている。
種田山頭火が、自分の道を探すための放浪の旅を続ていた時に、山中で詠まれた俳句。自由律俳句で「分け入っても」が二回繰り返される事で俳句全体がリズミカルな印象を与えます。
現代の俳句で有名な句は?
万緑の 中や吾子の歯 生え初むる(中村草田男)
緑が生い茂る生命力あふれる夏に、わが子の白い歯が生え始めてきた。
植物の成長と同様、子供の成長の頼もしさを詠った俳句です。
俳句で有名な小学生向けの句は?
五月雨を あつめて早し 最上川(松尾芭蕉)
梅雨の雨は最上川へと流れ込み、最上川の流れが速くなっている。
最上川を擬人化し、体言止めでリズミカルに終わっています。小学生が宿題などで俳句作る際に、真似しやすい型です。
まとめ
俳句についての知識は深まりましたか。
俳句には季語を入れるルールがあるため、季節の感動を詠んだものが多かったですね。
俳句のルールを無視した自由律俳句は、俳人の内面の思いが協調され興味深かったです。
もし気に入った俳句が見つかったら、その作家の他の作品や、同じ季語で別の俳句などどんどん知識を深めていってくださいね。
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