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2月の季語を使った俳句|有名な句10例

俳句

2月の季語の俳句

冬の終わりの2月。暦の上では春ですが寒さの残る時期のため、寒さを表す言葉と春の兆しを感じる言葉が2月の季語に混在しています。

そんな2月の俳句にはどのようなものがあるのでしょうか?

今回は2月の季語が使われているおすすめの俳句をご紹介します。

また、小学生・中学生・高校生の課題などで参考にできるよう句の意味も解説していきます。

2月の季語

2月4日前後の立春以降、暦の上では春になります。春の始まりを感じる季語も多く見受けられます。

時候 春隣 日脚伸ぶ 節分 立春 春浅し
天文 春の雪 風光る 春雷 東風(こち) 初雷
地理 薄氷 末黒野 堅雪 焼野 雪解
人事(生活) 蕗味噌 春炬燵 春の炉 日向ぼこ 夜話 炭 咳
行事 針供養 バレンタインデー チョコレート 建国記念の日 節分
忌日 節忌 西行忌 多喜二忌 利休忌 茂吉忌
動物 白魚 猫の恋 雲雀 飯蛸 鶯
植物 蠟梅 蕗の薹 海苔 猫柳 水菜
食物 鶯餅 目刺 蜆汁 海苔 小松菜

2月の有名な俳句10選

梅と空

さっそく2月の俳句を紹介していきます。

白梅のあと紅梅の深空あり 引用元:古志会員による一句鑑賞-白梅のあと紅梅の深空あり 飯田龍太

作者名 飯田龍太
出典元(本) 山の木
出版年 1975年
季節
季語

他の草木の先駆けて花開き、春の到来を告げる梅。この句は、梅の白と赤、そして深い青色の空という美しい色彩の景色が切り取られています。

薄氷(うすらひ)の吹かれて端の重なれる 引用元:大呂俳句会-薄氷の吹かれて端の重なれる  深見けん二

作者名 深見けん二
出典元(本) 余光
出版年 1991年
季節
季語 薄氷

薄氷とは春に入ってから寒さが戻り、水辺に薄く張った氷のこと。春先の暖かさでところどころ溶けて浮いている薄い氷が風で吹き寄せられ端同士が重なり合っている様子が詠まれた写生的な句です。

鶯(うぐいす)や前山いよよ雨の中 引用元:季語と俳句鑑賞ノート-水原秋桜子の俳句

作者名 水原秋櫻子
出典元(本) 葛飾
出版年 1924年
季節
季語

作者はうぐいすの声を聞きながら、春雨にけむりだんだん見えなくなる家の前の山を眺めています。視覚と聴覚から春の訪れを味わっている一句です。

2月の俳句で小学生におすすめの有名な句は?

咳の子

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや 引用元:俳句の教科書【咳の子のなぞなぞあそびきりもなや】俳句の季語や意味・背景・鑑賞文・作者など徹底解説!!

作者名 中村汀女
出典元(本) 汀女句集
出版年 1944年
季節
季語

咳をしている自分の子供となぞなぞをしている作者。寝かせようとするも、なかなかなぞなぞを終わらせてもらえずきりがないことだなあ……という句です。世のお母さんの共感を呼ぶ一句なのではないでしょうか。

叱られて目をつぶる猫春隣 引用元:セクト・ポクリット-叱られて目をつぶる猫春隣 久保田万太郎【季語=春隣(冬)】

作者名 久保田万太郎
出典元(本) 流寓抄
出版年 1958年
季節
季語 春隣

春隣とは、冬の終わり頃、春がそこまで来ていると感じることです。飼い主に叱られたのか、目をぎゅっとつぶって反省する猫。そんな和む光景と春の予感がする季節がマッチした句です。

2月の俳句で中学生におすすめの有名な句は?

冴えかへるもののひとつに夜の鼻 引用元:セクト・ポクリット-冴えかへるもののひとつに夜の鼻 加藤楸邨【季語=冴返る(春)】

作者名 加藤楸邨
出典元(本) 火の記憶
出版年 1948年
季節
季語 冴えかへる

「冴返る」は、立春のあとにゆるんだ寒さが、もう一度ぶり返すこと。一度春の暖かさを経験した後なのでより痛烈に寒さを感じた作者。鼻先に感じ取った冷たさに注目して詠んだ句です。

学問のさびしさに堪へ炭をつぐ 引用元:俳句の教科書-【2月の有名俳句 20選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!

作者名 山口誓子
出典元(本) 凍港
出版年 1924年
季節
季語

一人勉強をしているときの寂しさを我慢しながら、炭を足している様子が詠まれています。受験勉強をしている時の孤独感を思い出します。一人で勉強するのが辛いときの励ましの句として覚えておきたい俳句です。

2月の俳句で高校生におすすめの有名な句は?

絵の具

白き皿に絵の具を溶けば春浅し 引用元:季語と歳時記-春浅し(はるあさし) 初春

作者名 夏目漱石
出典元(本) 漱石全集
出版年 1965年
季節
季語 春浅し

冬の気配が残る時期を指すのが「春浅し」。春の準備段階であるこの時期と、真っ白のお皿に絵の具を溶かす、今にも絵を描こうとしている動作が良く似合う一句です。

あえかなる薔薇撰(え)りをれば春の雷 引用元:俳句はいく百花-あえかなる薔薇撰りをれば春の雷   石田波郷

作者名 石田波郷
出典元(本) 鶴の眼
出版年 1939年
季節
季語 春の雷

「あえか」とは儚げ、弱々しいという意味。春雷とは立春を過ぎてからの雷のこと。花屋でこれから会う人に向けて弱々しい薔薇を選んでいると春の雷が鳴ったという句です。石田波郷は病気がちな生涯を送った歌人です。あえて自分と似た薔薇を選んだ作者。雷の音に少し不安げな心が映し出されているのではないでしょうか。

夕東風(ゆうこち)や海の船ゐる隅田川 引用元:帚-夕東風や海の船ゐる隅田川 水原秋桜子

作者名 水原秋桜子
出典元(本) 葛飾
出版年 1930年
季節
季語 夕東風

東風とは、早春に太平洋側から吹く風。菅原道真が大宰府に流されるときに詠んだ歌「東風吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな」から、春を告げる風として知られています。墨田川に海の香りがするのは海の船がつながれているからだろうか、という句です。

まとめ

木の芽

この記事では2月の季語の俳句を紹介してきました。寒さを詠んだ俳句から初春の暖かさを感じる俳句まで季節の境目を感じる句が多くありましたね。
ぜひみなさんもお気に入りの2月の俳句を見つけてみてください!

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