PR

【桜の俳句】有名な句60選|中学生向け&桜散るなどテーマ別575例

俳句

春の風物詩と言っても過言ではない「桜」。

松尾芭蕉や正岡子規、良寛などといった俳人達もこよなく愛し、数多くの句を残しました。

また、近年の俳句ブームにより、一般の方も桜の俳句にチャレンジしていますよ。

そんな、奥深い桜の俳句の世界を、あなたも覗いてみませんか?

今回は、有名な桜の俳句60選をご紹介します。

こちらの記事を読むと、桜の俳句について知識を深められます。

また、さまざまな思いに触れることで、桜の見方が変わってくるかもしれません。

ぜひ、最後までご覧くださいね。

桜を使った俳句で有名な句15選

俳人達が詠んだ、有名な桜の俳句15句を選びました。

俳句で「花」と言えば桜を指すほどに日本人は桜を愛し、身近なものに感じています。

一気に開花しあたりを桜色に染め上げ、はらはらと、時には吹雪のように舞って散る。

その美しさに、俳人達も一句詠まずにはいられなかったようですね。

初桜 折しも今日は 能日なり(松尾芭蕉)
引用元 : 芭蕉と伊賀 芭蕉生誕360年

境内には初桜が咲き、天気もいい。今日は誠によい日だ。

会を発足させる時にいい天気に恵まれ、芭蕉の心躍る様子が良く表現されている句です。

よし野にて 桜見せふぞ 檜の木笠(松尾芭蕉)

檜笠よ。さあ、吉野に連れて行って桜を見せてやるぞ

芭蕉が敬愛する歌人である西行は、吉野の桜をこよなく愛し、「願わくは 花のしたにて 春死なん そのきさらぎの 望月の頃」という歌を残したほど。

その桜を見たいと思う芭蕉の心情がよくわかる句です。

旅人の 鼻まだ寒し 初ざくら(与謝蕪村)

旅人の鼻が赤くなるくらいの寒さの中、早くも桜が咲いているのを見つけたよ。

花が赤くなるほどの寒さの中でも桜が咲く、少しずつ春が近づいているのだな、と蕪村は思ったのかもしれません。

.むら鳥の さわぐ所や 初桜(正岡子規)

「むら鳥」とは鳥が群がっている様子を意味します。

桜が咲き、鳥が群れを成して嬉しそうに騒いでいる様子が伝わります。

観音の 大悲の桜 咲きにけり(正岡子規)

大悲は仏教のことばで、衆生の苦しみを救う仏や菩薩の広大な慈悲のことです。

子規の生涯と照らし合わせると、感慨深い印象を受けます。

八重桜 日輪すこし あつきかな(山口誓子)

日輪とは、太陽の別称です。

八重桜のシーズンは4月中旬〜5月上旬なので、誓子が八重桜を見たときには少し暑かったのでしょう。

晩春から初夏への移り変わりが表現されています。

老桜 人のとよみに 咲き倦める(日野草城)

老いた桜が、人々の騒がしさに咲こうと思っても、思うようにいかずに困っている。

倦める(あぐめる)とは、努力しても思うような結果が得られないで困ってしまうことです。

桜の木も、年を重ねれば次第に咲く力が弱くなっていくものですが、桜の立場で上手く表現しています。

徐ろに 眼を移しつつ 初桜(高浜虚子)

徐に(おもむろに)とは、「ゆっくりと」という意味です。

桜の木を何となく見つめていて、初桜を見つけたのかな、とイメージできますね。

散る桜 残る桜も 散る桜(良寛)
引用元 : 今月のことば(平成21年4月)-学校法人 光華女子学園

今、こんなに美しく咲いている桜もいつか必ず散る。そのことを心得ておくように。

命には必ず終わりがあることを教えられる、とても尊い句でもあります。

千社札 貼る楼門 の桜哉(夏目漱石)

神社や仏閣にお参りに行った記念に、自分の名前や住所を書き込んだお札を貼る習慣がありますが、このお札のことを千社札と言います。

漱石が千社札を貼った楼門の側に桜の木があったのでしょう。

春のうららかな陽気とともに、景色が浮かびます。

人声に ほつとしたやら 夕桜(小林一茶)

この夕桜を誰も見に来なかったが、人の声がしてやっと見に来たことがわかった。桜もほっとしただろう。

実際にほっとしたのはおそらく一茶ですが、それを桜に例えています。

八重桜 たわゝに咲いて 大月夜(高橋淡路女)

「たわわ」とは枝がきしむほどである様子です。

満開でしなるほどの八重桜と映える月が、見事な夜を表現しているのでしょう。

後の余韻が心地いい句ですね。

眼をふさぐ 道もわすれて 桜かな(加賀千代女)

目の前に現れた、道端の樹の枝にぶつかりそうなのにも気付かずに、桜の花に見とれていました。

目の前にある木の枝にぶつかりそうになるほど、桜が綺麗だった様子がわかります。

世の中は 三日見ぬ間の 桜かな(大島蓼太)

世の中は、3日見ないと散ってしまう桜の花みたいだ。

ことわざにもなっている俳句なので、一度は目にしたことがあるかもしれません。

櫻咲く まづ真向の 川風に(中村汀女)

川風は、河川の周辺で見られる特徴的な風のことです。

桜が咲いたことを、川風が知らせてくれたのでしょうか?明るい気分になる句ですね。

「桜散る」を使った俳句

桜にまつわる季語はたくさんありますが、その中で、「桜散る」という晩春の季語を使った俳句にスポットを当てました。

美しくも儚い印象があるこの季語をどのように捉えて表現しているのか、ぜひご覧ください。

さくら散る日さへ ゆふべとなりにけり(樗良)

桜が散る様を見ているだけでももの悲しいのに、夕暮れを迎えて更に寂しくなった。

桜は美しいけれど、散る様子は見ていて切なくなりますよね。夕暮れ時に散る桜の美しさの中にある寂しさが伝わります。

昼月の 鱗のごとく 桜散る (鳥居真里子)

「昼月」とは昼間に見える月のことで、見えてはいても存在の希薄なもの、という意味があります。

更に、月の表面を「鱗」に例えたのでしょうか、桜が散るときの儚さが際立ちます。

心地よき 嘘をつかれて 桜散る(わたなべじゅんこ)

「心地よき嘘」はエイプリルフールのことでしょうか?

嘘はついてはいけませんが、この句は、それさえも情緒の一部であるかのように感じられます。

なわとびの 一二三四 桜散る

子ども達が、縄跳びを「一・二・三・四」と声をかけながら飛んでいるそばで、桜は散っている。

「飛ぶ」とあえて詠まないことで、子どもの元気な様子と桜の散っていく様子がよりいっそう、浮かび上がります。

空の色 川の色変へ 桜散る

桜の花びらが、空や川の色を変えるほどに乱舞し、散っている様が目に浮かびます。

桜吹雪は幻想的で美しいですが、その一瞬を捉えて俳句にしています。

桜の俳句で中学生向けの句

桜をテーマにした中学生向けの句もたくさんあります。

中学生の教科書にも掲載されている俳句は、近年テレビでも扱われるようになり、より身近なものになりました。

シンプルな句が多いので、ぜひここから俳句の世界を楽しんでみてくださいね。

しんとして 露をこぼすや 朝桜(正岡子規)

まだ、誰も目を覚まさないほどの早朝の桜の様子を詠んだ句です。

若くして亡くなった子規の背景を考えると、爽やかな中にも複雑な感情が芽生えます。

春の夜は 桜に明けて しまひけり(松尾芭蕉)

春の夜に桜を見つめていたら、いつの間にか夜が明けてしまったよ。

夜通し見つめてしまうほど桜に没頭している芭蕉の様子がわかりますね。

初ざくら 其きさらぎの 八日かな(与謝蕪村)

旧暦の2月8日は、現在の暦に直すと2月下旬から3月中旬にあたります。

早咲きの桜なら、この頃に花を咲かせそうですね。

シンプルですが、初桜の喜びがこの句からは読み取れます。

茶屋むらの 一夜にわきし 桜かな(小林一茶)

茶屋むらとは、お花見の時に急ごしらえで作られた茶屋のことです。

お花見で桜を見に来た人と、茶屋でお茶を楽しむ人、両方の賑わいが描かれています。

世の中は 桜の花に なりにけり(良寛)

人の住む世の中も春めいて、辺り一面に桜が咲いている。

直接的な解釈はこのようになりますが、この句は単に桜だけを詠んだものではありません。

当たりが春めいても、良寛の住む庵の辺りはひっそりとしていたため、「世の中は栄華を楽しんでいるが、世の流れや人についていけず、寂しいものだ」とも解釈されています。

桜の俳句で小学生向けの句

小学生向けの俳句は、実際に小学生が詠んだ桜の俳句も多くあり、日頃の生活に密着しているのが特徴です。

かわいらしい句に、つい笑みがこぼれます。

もちろん、大人でも十分に楽しめますよ。

どこまでも 続いてほしい 桜道
引用元 : 平成24年度「大潟村桜と菜の花俳句コンテスト」入賞作品-大潟村

桜をいつまでも見ていたいという気持ちがストレートに伝わる句です。

うきうきした気分で、通学路の桜道を通っているのかもしれませんね。

さくらさき みんなニコニコ わらってる
引用元 : 平成24年度「大潟村桜と菜の花俳句コンテスト」入賞作品-大潟村

桜が好きなのは性別・年代問いませんよね。

小さな子も、かわいらしい桜の開花に笑顔が零れている様子がよくわかります。

桃色の 桜トンネル 通りぬく
引用元 : 第1回佛教大学小学生俳句大賞

桜の枝がトンネルのようになっていて、その下を通っていく様子を詠んでいます。

とてもワクワクする句ですね。

BBQ 桜の下で やりたいな

満開の桜の下で、みんなでBBQ(バーベキュー)をやると楽しそうですね。

春の陽気に心が弾みます。

ライダーの 数が増えると 桜咲く

暖かくなってくると、ツーリングするライダーが増え、それを合図にして桜が咲く。

こちらもシンプルですが、ライダーの喜びが伝わってきます。

学び舎の 道を彩る 花桜

学校までの道のりを、桜並木が彩っている様子を描いた句です。

桜が生徒を出迎えてくれそうですね。

桜の俳句例【テーマ別575】

桜の俳句は、桜の蕾の様子から散るまでの一部を切り取ったり、恋や別れ、ユニークな物までさまざまなテーマで詠まれています。

あまりに数が多いので、どうしたらいいか困ってしまうことはありませんか?

そこで、桜の俳句例をテーマ別にまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

こちらは、あくまで一例です。

日本人がどれだけ桜を愛し、句に残そうとしたのかがよくわかります。

桜の俳句で面白い句は?

桜狩り 奇特や日々に 五里六里(松尾芭蕉)

桜狩りという奇特なことに、よくも毎日こうやって、五里六里もせっせと歩き回っているなあ。

「桜狩り」とはお花見のことです。芭蕉の皮肉が効いた一句となっています。

桜咲く 大日本ぞ 日本ぞ(小林一茶)

一茶ならではの大胆な一句です。

桜を見るとテンションが上がるのは今も昔も変わりませんね。

山又山 山桜又 山桜(阿波野青畝)

見渡す限りの山、山、山。そして、満開の山桜がどこまでも続いている。

非常に珍しい、漢字だけの俳句です。

山を埋め尽くすほどに咲き誇る山桜の様子が伝わってきますね。

桜の俳句で恋を詠んだ句

妻にもと 幾人思ふ 櫻狩(小川破笠)

「幾人」とは不特定多数のこと。

お花見の最中に、何人もの女性を見て「奥さんにしたいなぁ」と思っている様子が表現されています。

夜桜に 後歩きも 妻恋ひつつ(中村草田男)

夫婦で夜桜見物に来ている。後ろを歩く妻が恋しい。

そう解釈できる句で、夫婦の睦まじさが見られます。

夜桜や ひとつ筵に 恋敵(黛まどか)

「筵(むしろ)」とは、主にわらの敷物を指しますが、今回の場合は、酒宴の席のこと。

夜桜を見ながらの宴会の席に恋のライバルがいるというのは、何とも複雑な気分になりますね。

「桜舞う」を使った俳句

ちらちらと 老木桜の ふぶきかな(阿波野青畝)

老いた桜の木から、桜の花が舞っていく様子が脳裏に浮かぶ一句。

「ちらちら」と「ふぶき」が対比になっています。

空をゆく 一かたまりの 花吹雪(高野素十)

俳句の世界では、「花吹雪」は桜が花吹雪となって舞い散る様子を表す、春の季語になります。

空を見上げると、桜吹雪が塊となって流れている様子がイメージできる、春の終わりを告げる句です。

飛花落花 解雇通知は 紙一枚(北大路翼)

「飛花落花」とは桜が舞い散る様子を表した、春の季語です。

桜の舞い散る様子は幻想的ですが、俗世になじんだ表現も俳句ではできます。

桜舞う 日本の景色 美しい

今では、世界の所々で見られる桜ですが、やはり日本の景色にこそ映えるもの。

ストレートに表現された美しさが余韻を残します。

桜で別れをテーマにした俳句

死に支度 致せ致せと 桜かな(小林一茶)

死を迎えるために準備することを、死に支度と言います。

開花までが待ち遠しく、美しい花を咲かせたかと思えば散っていく。そんな桜と人生を重ね合わせたのでしょうか。

「死」という別れをテーマにした、それでも一茶らしい句でもあります。

卒業の 窓に垂れたり 絲桜(山口青邨)

「絲」は「糸」の旧字体で、糸桜とはしだれ桜のことを指します。

卒業式の日、窓に垂れ下がるしだれ桜の様子がすぐに思い浮かびますね。

桜満開をテーマにした俳句

満開の桜 機関車 独走す(津田清子)

情景がぱっと思い浮かびますね。

満開の桜の中を機関車が駆け抜けていく疾走感が、心地いい句でもあります。

満開の桜 散らねば ならぬかな(稲畑廣太郎)

満開の桜をずっと見ていたいのに何故散らなければいけないのだろう。

桜が散るのはわかっていても名残惜しい、そんな気持ちが伝わってくる一句です。

満開の 花の隙間へ 早鼓(星野石雀)

早鼓とは、能楽で、大小の鼓を使ってはやす急調子の演奏のことです。

一気に咲いて急かされたように散る桜の様子を、早鼓と重ねたようにも捉えられます。

桜の蕾を詠んだ俳句

火を焚けば ほぐるゝ莟 朝さくら(長谷川かな女)

「莟」は「つぼみ」と読み、「ほぐるゝ」は「ほぐれる」と判断できます。

朝、火をおこすと桜の固い蕾もほぐれるようだと、作者が思っているのがわかりますね。

海近き 桜の蕾 つばらかに(太田鴻村)

「つばらか」の意味は、十分なさま・ことこまかなさま・くわしいさま。

海の近くにある桜の蕾が十分に、またはっきりとわかる様子が描かれています。

桜咲き 散るも私も 花つぼみ

「つぼみ」はまだ花の咲いていない状態を指します。

この句は、「桜の花が散っても、私はまだ蕾のようなものだ」と解釈され、未来に前向きに進もうとする印象を受けます。

桜と酒をテーマにした俳句

扇にて 酒くむ陰や 散る桜(松尾芭蕉)

戯れに幽玄を気取って、扇で酒を汲み、所作を真似てみる。その影で桜がはらはらと散っている。

桜が咲いている木陰で感傷に浸っていた芭蕉の様子がうかがえる一句です。

武蔵野や つよう出て来る 花見酒(土方歳三)

武蔵野、とは地名ですが、江戸時代では大杯を指すこともあったようです。

桜の花を愛でながら、酔い潰れるまで酒を楽しんでいたのでしょうか。

井戸端の 桜あぶなし 酒の酔(秋色女)
引用元 : 秋色女ーWikipedia

秋色女が13歳の時に詠んだ句と伝えられています。

「井戸端」は井戸の周り、「あぶなし」は危ないと思う、という意味です。

御衣黄桜をテーマにした俳句

雲間より 日差し御衣黄桜かな

御衣黄桜とは、4月中旬から下旬に咲く桜です。

花びらは、淡い緑色から徐々に黄色に変化し、次第に花びらの中心が赤く染まるのが特徴。

爽やかな季節に、日差しを受けて咲く御衣黄桜に、心が躍る様子が伝わって来ます。

御衣黄や 女嫌ひの 男の子(比々き)
引用元 : 4月の投句箱-公益社団法人 日本伝統俳句協会

満開の御衣黄桜には力強さを感じます。

女嫌いなのは事実なのか、それとも本震の裏返しなのか、多感な年頃の少年の心理を御衣黄に語らせている、心憎い詠みっぷりです。

追從を 許さぬ御衣黄さくらかな(岩尾みち子)

「追從」とは、媚びへつらうこと。

それを許さない御衣黄桜の力強さ・気高さを見事に表現している句です。

夜桜がテーマの俳句

夜桜や 天の音楽 聞し人(小林一茶)

夜桜だ。そこに、天からの音楽を聴いている人がいる。

夜桜と天の音楽を掛け合わせることで、とても幻想的な印象を持った一句。

夜桜の元で、どこからともなく聞こえた音楽に耳を傾け、聴き入っている人がいる風景が目に浮かびます。

夜桜や 蒔絵に似たる 三日の月(正岡子規)

夜桜だ。そして、蒔絵に似ている三日月も見える。

三日の月とは夕暮れに西の空に見える月のことです。

夜桜と三日月を漆に金や銀、螺鈿などで鮮やかな模様をつける蒔絵に見立てた、情景の美しさが際立つ俳句です。

夜桜に 青侍(あおざむらい)が 音頭かな(高井几董)

夜桜の元で、身分の低い武士が音頭を取っている。

青侍とは若くて身分の低い侍のことです。

現代でも、若い人が桜の下で音頭を取って盛り上げることがありますが、その様子と重なります。

夜桜に 愁の面 あげにけり(阿部みどり女)

「愁(うれい)」とは心配事や不安などを指す言葉です。

華やかな昼の桜とは対照的に、闇夜に浮かび上がる桜には哀愁も感じられるのかもしれません。

まとめ

日本人は桜を心から愛し、桜の蕾から満開、そして散っていく様まで、さまざまなシーンを詠み、残しています。

あまりに数が多いので、迷ったときはこちらの記事に掲載されている句から触れてみるのがオススメです。

そして、興味を持ち慣れてきたら、ぜひ、あなたも桜の俳句にチャレンジしてみてくださいね。

こちらを読み、学んだ後でしたら、きっと素敵な俳句がつくれますよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました